中国共産党の呉江浩駐日大使の問題発言について、元駐豪日本大使の山上信吾氏は22日、当該発言は「日本人を殺す」と言っているに等しい重大な内容だと指摘した。日本政府は呉氏を呼び出し厳重に抗議し、謝罪と発言撤回を求めるべきだと強調した。応じない場合は国外追放処分もありうるとの見解を示した。
呉氏が20日に東京の中国大使館で開いた台湾問題に関する座談会で「日本国民は火の坑に引きずり込まれる」などと発言したことが波紋を呼んでいる。
山上氏はX(旧ツイッター)に「実質的に『日本人を殺す』とまで言われておきながら、『答弁』だけでごまかさせては駄目です。まずは、外務大臣が中国大使を呼びつけ、厳重に抗議し、謝罪と発言の撤回を強く求める。応じなければ、ペルソナ・ノン・グラータとして中国に送り返す。怒るべき時には怒る、それが抑止力になります」と投稿、同発言への見解を述べた。
呉氏は、台湾の頼清徳総統就任にあたり日本政府が祝意を表明し、30名以上の国会議員が訪台したことを強く批判。中国共産党は日本政府に申し入れを行ったことを明らかにした。中国共産党は台湾「統一」に向け武力行使の放棄は約束しないと言明。これは「独立」を抑止する切り札だと表現した。
さらに、日本が台湾と中国の「分裂」に関与するならば「日本の民衆は火の坑に引きずり込まれる」ことになると脅しを発した。「後になって、警告しなかったなどと言ってはならない」と強弁した。
座談会には、鳩山由紀夫元首相や社民党の福島瑞穂党首も出席し、呉氏の意見に賛同的な態度を示した。鳩山氏らの出席や言動は中国官製メディアでも取り上げられたため、プロパガンダに利用されている可能性もある。
松原仁衆院議員(無所属)は21日、呉氏を国外追放すべきとの考えを示し、政府の見解をただす質問主意書を衆院議長に提出した。
産経新聞によれば、松原氏は同書のなかで呉氏が昨年4月にも同様の「脅迫発言」を行なったことを指摘し、「二度も繰り返すのは極めて不見識。接受国である日本政府に対し失礼千万で、敬意を欠く」と非難した。
「脅迫発言を繰り返す中国大使の追放に関する質問主意書」と題した同書は同日までに受理され、31日に答弁書を閣議決定する見通し。
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