中国からの脱出に成功した新疆ウイグル自治区の元収監者数人は、「再教育施設」「職業訓練センター」などの拘留施設の内部について海外メディアに明かした。彼らによると、収容所には漢民族も含む法輪功学習者がいたという。新疆には約100万人の少数民族が抑留施設にいるとされる。
米政府系メディア、ラジオ・フリー・アジア(RFA)は7月31日、新疆ウイグル自治区の施設で拘留されていた2人の体験を伝えた。
2017年7月16日、カザフスタンに居住権をもつ中国籍女性グルジラ・アウエルカーン(Gulzira Auelkhan)さんは、2人の娘とともにカザフから新疆に渡ったところ、中国国境で拘束された。3日後に「再教育キャンプ」に送られ、19カ月拘禁された。彼女によると、拘束理由は「中国語が話せなかったため」だという。釈放されるまで、収容先で単純労働を強いられた。
カザフスタンの人権団体は、中国当局にグルジラさんを解放するよう圧力をかけた。彼女は2019年初めに中国を離れることができ、カザフスタンで夫と再会した。しかし、2人の娘はまだ新疆ウイグル自治区に残されている。
グルジラさんはRFAに対して、拘禁中は毎日制服を着なければならず、中国語の学習を受けたという。拘禁の半年後、彼女は内容物の説明のない薬物注射を強制的に打たれた。長い髪は切り落とされた。「再教育キャンプ」は、軍の野営地のようだと説明した。
グルジラさんは収容所に、ウイグル族、カザフ族、キルギス族、フイ族、タタール族、漢民族の法輪功学習者もいたことを明らかにした。収容される前、施設には800人いると聞いていたが、実際は1800人が拘留されていたという。
彼女は2人の漢民族と接触した。1人は若者で、もう1人は高齢者だという。収容施設のルールでは、各グループで3人以上が会話のために集まることは禁止されている。
もう一人の元収監者、新疆ウイグル自治区アルタイ市出身の漢民族の男性は、匿名性でRFAにその経験を語った。
2018年夏、警察が訪れ、売っていた民族工芸品を理由に難癖を付けられて、警察署に連行された。尋問され、三日三晩連続、両腕を後ろに回し縛られ鉄製の椅子に座り続ける「トラの椅子」と呼ばれる拷問を受けた。夜は深夜2時まで寝ることが許されなかった。目を覚ますとすぐに「トラの椅子に縛られた。警察は、どうやって民族工芸品を入手したのか、なぜ海外旅行したかを尋問し続けた。警察はまた、家族を「再教育キャンプ」に入所させると脅したという。
尋問の後、警察は彼をアルタイ市内の人民病院に連れて行き、腹部と胸部の超音波検査、尿検査、心電図検査、採血をした。彼は1カ月近く連日の拷問を受けたという。この間、何度も意識を失い、絶命の危機に瀕した。最終的に、警察署からアルタイ市内にある「再教育キャンプ」に移送された。
彼は、拘留施設に約1年間収容された。その間、30人以上の漢民族と会ったという。施設には宗教信者、陳情者が含まれていた。また、全員が医療診断を強制されていたという。
台湾のオンラインメディアも最近、解放されたカザフ系ウイグル人のヤール・カリー(Yar Khali)さんの話を伝えた。彼が2017年9月、カザフスタンから新疆に入ると、突如として逮捕された。理由は、カザフスタンへの渡航、イスラム教の習慣、携帯電話に米企業開発チャットアプリ・ワッツアップ(WhatsApp)をダウンロードしていたことなどだという。彼は罪を認めなかったが、400日以上の収容が決まり、「再教育キャンプ」に送られた。収容先で高圧電気棒での殴打、暴行を受け、数日間食事を与えられなかった。
カリーさんは台湾メディアに対して、これらの収容体験から、中国共産党の主張するいわゆる「過激主義との闘い」が嘘だと理解したという。
カリーさんは、収容所の拘留先で法輪功学習者、クリスチャンおよび漢民族を見たという。「あの再教育キャンプの真実がすべての人に知られるようになれば、さまざまな民族グループや信仰者が中国の共産主義体制と闘うために団結するだろう」と述べた。「中国共産党体制はあらゆる市民、あらゆる宗教を迫害しているからだ」
(翻訳編集・佐渡道世)
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