オーストラリア連邦議会のグラディス・リュー(Gladys Liu)下院議員が、海外に浸透工作を展開する中国共産党中央統一戦線工作部(省)と近い関係にあるとされ、波紋が広がっている。
リュー議員(55)は香港出身で、1992年オーストラリア国籍を取得。与党自由党に所属。今年5月の総選挙でビクトリア州チザム地区から出馬し、中国系の女性国会議員として初当選を果たした。
オーストラリア放送協会(ABC)など10日付の報道によると、リュー議員は2003~15年まで、中国海外交流協会広東支部の理事を務めた。また、同氏は2010年に同協会山東支部の理事会メンバーを兼任したという。
中国海外交流協会は、海外在住の中国系住民への政策を担う中国国務院(内閣)僑務弁公室の統括を受けていた。2018年、僑務弁公室は党中央統一戦線工作部に合併された。弁公室は海外の中国系住民を通じて、世界各国における中国当局の影響力拡大を任務とする。
リュー議員は豪メディア「スカイ・ニュース」に対して、「報道されたように12年間も活動していたなら、覚えているはずだが、全く覚えていない」と述べた。
議員は11日に発表した声明で、2011年に中国海外交流協会広東支部で名誉職を務めたと認め、11年以降、同協会とのやり取りはなかったと主張した。同協会山東支部での職務について言及しなかった。
野党労働党は現在議会で、リュー議員が同国憲法44条に違反したかを追及している。同44条は、「外国勢力への忠誠、服従、加担」などの行為がある国会議員は、議員資格をはく奪と定めている。
自由党党首のスコット・モリソン首相は12日、記者団に対して、リュー議員への支持を示した。
(翻訳編集・張哲)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。