中国の王毅外相は8月25日~9月1日の日程でイタリア、フランス、ドイツなど欧州各国を訪問している。香港問題などで溝が広がる各国との関係修復を図る狙いがあるとみられる。しかし、最初に訪れたイタリアから、現地住民による人権問題への抗議が相次いだ。仏メディアは今回の訪問は「失敗に終わった」と評した。
各国で冷や飯を食わされた。中央通信社の報道によると、王毅氏はイタリア滞在中、「五つ星運動」の元メンバーであるルイジ・ディマイオ(Luigi Di Maio)伊外相との間で、新シルクロード政策を通じた二国間協力協定の強化を図るための2つの重要な貿易協定に調印したが、同国ジュゼッペ・コンテ首相は王毅氏との会談を拒否し、2人は電話でのやりとりのみとなったという。
また王氏と会談したオランダのステフ・ブロック(Stef Blok)外相は、北京が新疆や香港のウイグル人の自由を制限していることに懸念を表明した。
さらにノルウェーでは、王氏は北極圏の共同計画について対談する予定だったが、香港の反体制派にノーベル平和賞を授与しないようノルウェーに要請した同氏の発言が議論の火種となった。
王氏は28日夜、フランスのマクロン大統領と、さらに翌日には同国ドリアン外相とも会談したが、両日とも会談後の記者会見は行われなかったという。
メディアの報道によると、フランスのマクロン大統領は王氏に対し、フランスは中国通信機器大手ファーウェイの設備を禁止しないが、通信セキュリティの重要性からして、フランスはヨーロッパの5Gシステムを使用する意向を表明した。
マクロン大統領もル・ドリアン外相も、中国の人権状況、特に香港や新疆ウイグル族の状況に対する深刻な懸念を、繰り返し王毅氏に表明した。
フランスの新聞「ジュルナル・デュ・ディマンシュ」(Le Journal duDimanche)は、ファーウェイ5G問題から台湾問題まで、フランスと中国の間では対立が深まっているとし、欧州での中国人気は過去最低になっているが、王氏の訪問は人気回復にあまり役立っていないようだと報じた。
また同紙は、王氏の訪欧の目的を、今回「誰にとっても良い。安定し繁栄した欧州を支持する」と宣言したものの、実際の目標は欧米間の結びつきを弱体化し、北京と欧州の個別国との二国間関係を強化し、結束された欧州に直面することを避けるためである、との見解を示した。
王氏訪問の際、フランスの電気通信事業者であるブイグテレコム(Bouygues Telecom)は27日、次世代通信規格5Gのセキュリティ上の懸念から、政府の要請に応じて国内のファーウェイのアンテナを8年以内に段階的に解体すると発表した。
また王氏のヨーロッパでの重要な訪問先では、香港人、ウイグル人、チベット人および現地の支援抗議団体が行く先々で彼を待ち受けていた。フランスでは28日と30日の両日、100人以上の人々が中国共産党の暴政に抗議した。
王氏の31日の訪問先はドイツのアンゲラ・メルケル首相で、自民党議員で人権委員会委員長のジェンセン氏(Gyde Jensen,MdB,FDP)をはじめとする複数の独議員らは、香港と新疆問題を前面に押し出すよう呼びかけた。
(大紀元日本ウェブ編集部)
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