米国務副長官、米日豪印のクアッド枠組み拡大に言及 中国の脅威を念頭に

2020/09/02 更新: 2020/09/02

スティーブン・ビーガン(Stephen Biegun)米国務副長官は8月31日、中国の潜在的脅威に立ち向かうため、米日豪印による安全保障対話の枠組みクアッド(QUAD)を拡大する可能性があると述べた。インド太平洋地域に共通の価値観と利益を有する勢力を構築し、最終的には正式な組織として機能することを望んでいるという。

ビーガン氏は31日、米国・インド戦略的パートナーシップフォーラムが主催した討論会に参加し、リチャード・ヴェルマ(Richard Verma)元在米インド大使と米国のインド太平洋政策について対談を行った。対話の焦点の1つは、米日豪印の4カ国で構成されるクアッド同盟が正式化されるかどうかのことだ。

クアッドのメンバー国はいずれも民主主義国であり、共通の利益や価値観を共有した「太平洋大国」であるため、現時点では自然な形で集結された非公式の戦略フォーラムとなっており、定期的に首脳会談や合同軍事演習が行われている。安倍晋三首相は2007年8月に訪問先のインド国会で「二つの海の交わり」と題した演説を行い、インド太平洋の構想の基礎を築いた。

クアッドの設立目的について、ビーガン氏は、北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)と異なり、インド太平洋地域には現在、強力な多国間機構がないため、いずれかの時点で、そのような機構を正式に設立する動きが出てくるだろうと答えた。
「たとえば、NATOも当初の期待値は低く12の加盟国しかなかったが、現在は27カ国が参加している。クアッドも小規模からスタートして、徐々に加盟国を増やしていくことは可能だ」とビーガン氏は述べた。

また、同氏は「クアッドを単に中国共産党を封じ込めるだけのものとして定義したくない。クアッドは『環太平洋パートナーシップ協定(TPP)』にまで発展しない」と付け加えた。「ただ、そういう(中国共産党を封じ込める)考えも念頭にある」

さらに、同氏は「今秋インドのデリーで開かれる「クアッドの拡大版」に、韓国とベトナム、ニュージーランドを招待する予定だと明らかにした。

米国は9月と10月の間に、クアッドのハイレベル会談を予定しており、ポンペオ米国務長官が出席し、日印豪の外相と会談するという。

(大紀元日本ウェブ編集部)

関連特集: 中国