豪中国語メディア、3分の2以上が中国共産党の支配下=同国情報機関が調査

2020/12/06 更新: 2020/12/06

オーストラリアの最高情報機関は同国政府に、中国共産党(以下、中共)が対外介入や影響力行使のため、オーストラリアの中国語メディアを密かに支配していると機密資料を通じて警告している。12月2日付の豪紙シドニー・モーニング・ヘラルドが匿名の関係筋の話として報じた。

同紙によると、オーストラリア国家情報局(ONI)オープンソースセンターは、14の中国語ニュースサイトと中国大手SNS「微信ウィーチャット)」で人気の高い10のサイトのコンテンツを過去20カ月に渡って分析した。また、これらのニュースサイトの所有権や中共との関連性も調査した。

この調査結果、ウィーチャットが配信するニュースサイトは、中共によって完全に管理・検閲されていることや、ウィーチャットの公式アカウントの一部は中共によって直接管理されていることがわかった。ONIの報告は、一連の媒体は中国の戦略的利益を推進するため中国政府に吸収されている、と政府に報告している。

さらに、ONIが評価したニュースサイトの幹部の3分の2以上が、中共の対外浸透工作を行う統一戦線組織とつながりを持っていることも判明した。メディアの経営者や編集スタッフの中には、統一戦線組織の幹部を務めている人もいるという。

たとえば、中国福建省を本拠地とするニュースサイト、東南網オーストラリア(Southeast Net Australia)は、中共によって完全に支配されており、これは周知の事実でもある。ポータルサイトのau123.comとWeSydney(ウィーシドニー)、そして親会社の大洋メディアグループと南海メディアグループも、中共統一戦線工作部のために働いている疑いがあるという。

40万人の購読者を抱えるウィーシドニーは、中共統一戦線工作部管轄の国営通信社である中国新聞社(CNS、略称・中新社)が所有する会社に登録されている。

南海メディアグループはまた、毎年シドニーで大晦日にイベントを開催し、マルコム・ターンブル(Malcolm Turnbull)前首相やトニー・アボット(Tony Abbott)元首相をはじめとする大物政治家を招待している。

オーストラリアで最も人気のある中国語ポータルサイト、Sydney Today(シドニー・トゥデイ)とABC Media(ABCメディア)は、いずれも経営者は親中共派で、中新社を通じて中共と結びついている。ABCメディアの所属するグループ会社会長は、中共統一戦線機関である「中国人民政治協商会議(政協)」の湖南省委員会の顧問を務めている。

ONIの詳細な分析によると、オーストラリアの中国語メディアに対する中共の影響力は深刻であり、しかも規制されていないと結論付けた。2016年の国勢調査によると、在オーストラリア中国人は120万人いて、総人口の5%以上を占める。

オーストラリアのモリソン首相は最近、ウィーチャットで検閲を経験した。同首相は、中国外務省の趙立堅副報道局長が豪兵士を侮辱した偽の合成画像を投稿したことを批判し、中国当局に画像の削除と謝罪を要求した。

モリソン首相は12月1日、自身のウィーチャット公式アカウントで中国人への公開書簡を載せ、「偽写真」事件は在豪中国人への尊重に影響しないと述べた。しかし、この手紙は公開からわずか1日でウィーチャット運営側に削除された。

中国研究の専門家ジョン・フィッツジェラルド(John Fitzgerald)氏はシドニー・モーニング・ヘラルド紙に対し、「外国政府は通常、オーストラリアのコミュニティ・メディアに資金を提供したり、直接干渉したりすることはない。しかし、中国はかなり特殊だ」と指摘。さらに、中国系オーストラリア市民は、フェイクニュースを見分ける十分な能力があるとしたうえ、「中共はフェイクニュースを生み出すことより、厳しい検閲で真実を隠ぺいすることに力を注いでいる」と語った。

(翻訳編集・王君宜)

関連特集: 浸透工作