統合幕僚監部は3月19日、3隻の中国軍艦が18日午前に対馬海峡を北上し、日本海へ向けて航行していることを確認したと発表した。初めて確認された新型艦も含まれており、海上自衛隊は警戒監視活動を続けている。16日に東京で開かれた日米安全保障協議委員会(日米2プラス2)に対する中国側のけん制であるとの見方もある。
日米会談へのけん制
統合幕僚監部はプレスリリースのなかで、「中国艦艇3隻が対馬海峡を北上し、日本海へ向けて航行したことを確認」したことを発表。「自衛隊は、引き続き我が国周辺海空域における警戒監視活動等に万全を期して」いくと告知した。確認された3隻の中国海軍艦はそれぞれレンハイ級ミサイル駆逐艦(055型)、ルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦(052D型)、ジャンカイⅡ級フリゲート艦(054型)だった。
中国軍のこうした動きの背景には、日米外交・国防長官会議(2プラス2会議)への反発があると見方がある。日本国際問題研究所の小谷哲男主任研究員は3月20日、自身のツイッターで「055型は1万2000トン以上でどちらかといえば巡洋艦。052D型の2倍のミサイルの垂直発射口を持つ。日米2+2への対抗措置の可能性大」とツイートした。
排水量が12,000トンを超えるレンハイ級ミサイル駆逐艦は、長さ約180メートル、幅22メートルの大型艦であり、対空ミサイル、対艦ミサイルのほか、地上の目標を攻撃する巡航ミサイルを発射することが可能だ。ミサイルは艦体前部と後部に搭載された垂直発射装置から発射され、112発搭載することができる。米国防省は2017年の「防衛白書」のなかで、レンハイ級駆逐艦を「巡洋艦」と分類している。
「餃子をゆでる」中国共産党軍
中国人民解放軍は近年、急激な軍備拡張を行っている。特に海軍の艦艇の建造スピードはすさまじく、中国本土系メディアはこの動きを「餃子をゆでる(水餃子をゆでるときに次々と餃子を鍋に入れる様子)」と比喩している。
2014年から就役し始めたルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦は計25隻の建造が予定されており、すでに18隻が就役している。今回初めて確認されたレンハイ級駆逐艦もすでに2隻が就役し、6隻の建造が完了している。そのうえ、中国当局はさらに8隻の同型艦を建造する予定だ。
さらに、離島に対する上陸作戦に備えてか、強襲揚陸艦の建造を進めている。中国海軍は排水量約4万トンの075型強襲揚陸艦を8隻発注しており、うち2隻はすでに完成している。075型強襲揚陸艦は兵員1600人を搭載できるほか、各種ヘリコプターを30機収納できるという。
いっぽう、日米両国も強まる脅威を座視しているわけではない。米軍は最新鋭駆逐艦「ラファエル・ペラルタ」号を日本に配備したほか、太平洋の第一列島線にミサイル基地を建設する計画も発表している。日本の海上自衛隊も艦船の数を増やしており、3月だけでも最新鋭の護衛艦「はぐろ」や潜水艦「とうりゅう」、音響測定艦「あき」、掃海艦「えたじま」の4隻が就役する。
(王文亮)
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