性的暴力終焉と処罰の徹底を平和的に要求し、女性の自由を制限していると考えられている政治体制に抗議するため、数百人ものネパール人女性がオンラインコミュニティに参加し、街頭で抗議デモを展開した。
ネパールの英字新聞「カトマンズ・ポスト(The Kathmandu Post)」が報じたところでは、2021年2月中旬にネパール西部に位置するバイタディ郡の渓谷で17歳の少女が遺体で発見された事件を起因として、正義を要求する声が高まり、数日後にネパールのカトマンズで女性等によるデモ行進が行われた。警察の発表によると、同少女は強姦および殺害されたことが検死により明らかとなった。
学生や活動家等からの抗議が高まっている同事件により、2018年にカンチャンプル郡で発生した13歳の少女の強姦殺人事件が人々の記憶に蘇った。2021年3月中旬の時点で、いずれの事件の容疑者も逮捕されていない。 犠牲者の正義を要求するデモ隊は、女性の権利を不当に制限する要因となっている家父長制についても訴えている。
ガーディアン(The Guardian)紙が伝えたところでは、2021年2月、ネパールの入国管理法について、40歳未満の女性が初めてアフリカや中東を訪問する場合は家族または政府関係者からの許可を要求する法案が提出された。
入国管理局の説明では、同法案は人身売買防止を目的としたものだが、デモ参加者等はこれには政府の動揺が表れていると主張する。NGO団体「ウィメン・リード・ネパール(Women Lead Nepal)」のヒマ・ビスタ事務局長はガーディアン紙に対して、「非常に危険なのはその背後にある思考プロセスである」とし、「政策立案者等が成人女性や女子の移動を制限する法案を起草したという事実は、家父長制の思考態度がどれほど深く根付いているかを示すものである」と説明している。
同紙が報じたところでは、ネパールのイラ・シャルマ元選挙管理委員は、同法案を「ばかげているとは言えないまでも、これは逆進的かつ違憲である」と訴えている。数百人に上る女性がカトマンズで平和的に行進しただけでなく、新進的な女性等は変革について安全に話し合える場を提供するオンラインコミュニティに参加し始めた。
カトマンズを拠点とする25歳のジェセリーナ・ラナ(Jesselina Rana)活動家はオンライン雑誌のザ・ディプロマットに対して、「法律と社会の進歩の間のギャップをなくすにはどうすればよいか?政策の視点と社会の視点は並行して進化する必要がある。有毒な性差別のサイクルを断ち切るには、若年層の少年少女を話し合いの輪に含める必要がある」と話している。
「ネパールの若年層フェミニストが影響を受ける問題について安全に協議できる場が不足している」ことを認識したラナ活動家は、2017年にデジタルプラットフォーム「ネパール・フェミニスト(Nepali Feminist)」を立ち上げた。 同活動家は、「デジタル空間にいると人々はより容易に会話に参加できるようになる」と説明している。
しかし、インターネットアクセスが制限されていることで、こうしたプラットフォームの成長が妨げられている。 同活動家は、「大半の地域でインターネット接続やアクセスが確立されていないため、ほとんどの場合、ネパールのデジタル行動主義は依然として『小規模』である」とし、「未だにほとんどのデジタル行動主義は英語が基盤となっているが、多くの人々はネパール語や地域の現地語で情報を入手したいと考えている」と話している。
(Indo-Pacific Defense Forum)
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