29日、中国IT大手テンセント(騰訊控股)子会社による楽天への出資が間に合わなかったと報道されたなか、中国国家市場監督管理総局(SAMR)は現在、独占禁止法違反の疑いでテンセント(騰訊控股)を調査していることがわかった。情報筋によると、先週、中国当局の特捜チームが、広東省深セン市にあるテンセント本社への立ち入り調査を実施しており、上級幹部らに聴取を行っている。
米ラジオ・フリー・アジア(RFA)29日付は、情報筋の話として報じた。
事情を知る孫さんは「中央巡視組(特捜チーム)はすでにテンセント本社に入ったと話した。今、テンセントが直面している状況は、(電子商取引最大手の)アリババ集団と同じだ。当局は表では独禁法違反で調査しているが、実際は事業を拡大しているテンセントを抑制する狙いだ」と話した。孫さんによれば、現在、中国最高指導部は民営企業の勢力拡大と企業家らの影響力増大に警戒し、締め付けを一段と強化しようとしている。
中国当局は昨年11月、アリババ集団傘下の金融会社、アントグループの上海と香港両市場への上場計画を中止した。12月、当局は独禁法違反として、杭州市にあるアリババ集団の本社に立ち入り調査を行った。当局はこのほど、同社のメディア事業を売却するよう命じたことも報道された。
また、今月中旬、中国電子商取引(EC)大手の拼多多(ピンドゥオドゥオ)創業者兼会長の黄崢氏が、予定より前倒しで会長職を退任した。同社が発表した2020年度決算報告書によると、昨年の同社の売上高は594億元(約9974億円)で、前年比で97%増となった。好業績を達成したにもかかわらず、黄氏の早期退任は様々な憶測を呼んだ。
孫さんは「拼多多の株価は一時期、アリババ集団の株価を上回った。それに、各ECプラットフォームの中で、拼多多の利用者数が最も多い」と話した。中国当局に目を付けられないように、民営企業の創業者や会長らの多くは退任を余儀なくされたという。
24日午後に開かれたテンセントの2020年度業績発表会では、同社の馬化騰会長は、独禁法をめぐる調査について、「監督管理当局に積極的に協力する」と述べた。また、劉熾平社長はすでに複数の政府機関の担当者と面談したと明かした。
専門家はRFAの取材に対して、中国当局は今後、テンセントの上級幹部の人事や組織改造、事業戦略の方向性などに直接介入する可能性が高いとの見方を示した。
また専門家によると、近年、中国国営企業の業績が悪化しているのに対して、IT大手の収益は好調となっている。最新情報では、昨年10~12月期(第4四半期)のテンセントの純利益は約2倍の593億元(約9958億円)となった。2020年通期の売上高は前年比28%増の4820億6400万元(約8兆957億円)で、純利益は1598億5000万元(約2兆6844億円)となった。
(翻訳編集・張哲)
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