[ソウル 18日 ロイター] – 韓国の文在寅大統領は21日、ワシントンでバイデン米大統領と初の首脳会談を行う。停滞が続く北朝鮮との対話を再び前進させる目的で、米政府のより積極的な関与を求めるとみられる。
バイデン政権は最近、北朝鮮政策の見直しを完了し、非核化という最終目標を維持しながら緊張緩和に向けて現実的な外交手段を行使していくと表明。ある韓国政府高官は、こうした方針は南北対話再開の地ならしにつながる「好材料だ」と歓迎した上で、ロイターに「対話再開に向けた真剣な試みがなされてもおかしくないと考えている」と語った。
ただバイデン政権は世界的な新型コロナウイルスの大流行に加え、国内の政治経済面での課題や他の外交的な懸案を抱えているだけに、北朝鮮政策を最優先に据える姿勢は見せていない。バイデン氏は朝鮮半島非核化を扱う特使も任命しておらず、北朝鮮の人権侵害には強硬な態度で臨むことも示唆している。
さらにバイデン政権がこれまで発した外交メッセージに北朝鮮は反発しており、同政権は北朝鮮への制裁も緩和しない意向だ。北朝鮮はまず制裁をやめるよう要求しており、これは文大統領が目指す南北経済交流の妨げにもなっている。
それでも、バイデン政権が北朝鮮政策を見直したことで先行きに期待が持てる、というのが韓国側の見解だ。大統領府高官の1人は18日、「米政府は外交的解決と二国間の対話を推進し、北朝鮮が有意義な対応をすれば譲歩する用意があるとしている。これは非常に現実的かつ柔軟性があるアプローチだ」と評価した。
文大統領にとっては、支持率低下理由の1つになっている新型コロナウイルスワクチン接種の遅れを挽回するため、首脳会談でワクチン供給に関して米国の協力も要請する見通しだ。
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