昨年11月から拘束されていた、中国の著名な企業家で河北大午農牧集団(以下、大午グループ)の創業者である孫大午氏(スン・ダウー、67)に対し、中国河北省高碑店市の裁判所は28日、「騒動挑発罪」などで懲役18年と罰金311万元(約5300万円)を言い渡した。
また、孫氏の会社の従業員のうち19名が、1~12年の懲役刑に処せられた。その中で、息子の孫孟氏、2人の弟の孫徳華氏、孫志華氏は、それぞれ12年、12年、9年の判決を受け、190万元、51万元、55万元の罰金を科せられた。
また、裁判所は大午グループに対し、3050万元の罰金、1447万5400元相当の「違法収益」の没収、10億3700万元相当の「違法な資金調達」の返済を言い渡した。
これに対し、弁護団は、複数の当事者が法廷で無罪を主張していることから、すべての法的手続きを終えるまで、依頼人が控訴や不服を申し立てるのを支援し続けるとの声明を発表した。
孫氏は、当局に迫害される民主活動家を雇用するなど陰で支援していた。農家の税負担軽減を求めるなど政治的な言動でも注目を集め、たびたび政府の圧力を受けてきた。
人権派弁護士「重大な誤審」
中国の人権派弁護士である謝燕益氏は大紀元に対し、この事件は「懲役刑と罰金刑の両方で非常に重い判決が下され、手続きと証拠に欠陥がある、重大な誤審である」と指摘した。
謝氏は、「孫氏は18年という重い刑を受けた。特に、大午グループに科せられた罰金は非常に莫大で、判決が実行されれば、大午グループはすべての資産を失う可能性がある」と述べた。
謝氏自身は裁判に出席していないものの、同僚の何人かは弁護団のメンバーだった。「弁護側の主張は、ほとんどすべて裁判官に却下された」という。
謝氏は、「土地の不法占拠」「違法な資金調達」「公務執行妨害」「国家機関への侵入」などのいわゆる罪状は、社会にとって有害なものでなければならないと主張した。
大午グループは従業員9000人以上を擁し、20億元(約340億円)の固定資産と30億元(約511億円)以上の年間生産量を誇っており、中国の民間企業のトップ500にランクされている。
手続き上、この裁判は公開されるべきだったが、秘密裏に行われた。弁護に携わった弁護士は全員、当局から大きな圧力を受けていた。
また、弁護団が法廷で、勾留・逮捕中に自白を引き出すために激しい拷問を受けた孫氏らの口頭証拠について、違法収集証拠排除法則の適用を求めたが、受け入れられなかったという。
法律専門家「中国における法治後退の兆し」
中国の高級法律専門家で元公安大学法学部講師の趙遠明氏は大紀元に、孫大午氏らに下された重い判決は、孫氏が事業を運営して善行を積む過程で特定の幹部と利害が衝突したこと、担当幹部の利益と結託しなかったこと、公安局や拘置所、司法、検察などの政府部門が収入確保のために大午グループの財産を没収したがっていたことなどが原因ではないかと語った。
趙氏によると、民間企業の経営者が不当な判決に苦情を申し立てる場所がないということは、中国社会の法治が全面的に後退していることを示しているという。
(翻訳編集・王君宜)
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