南シナ海で軍事演習、抗議声明、船の追尾…中国軍の態度はより強硬に=専門家

2021/08/13 更新: 2021/08/13

米国や欧州主要国、豪やインド、日本は今年後半、英空母「クイーンエリザベス」を中心とする打撃群のアジア派遣に合わせて、合同演習を行う予定だ。アナリストは、これに反発して中国軍が外国艦船の追跡や、南シナ海などで実弾演習を実施すると分析している。

ランド研究所のデレク・グロスマン上級研究員は、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)に対し、中国は外交的な抗議活動を開始したり、国内の英語メディアを通じて抗議文を発表したりするほか、外国艦船に追尾するなど、より強硬的な姿勢を見せる可能性があると述べた。

実際、8月はじめ、太平洋地域を航行中の英空母「クイーン・エリザベス」打撃群が中国の商(シャン)級原子力潜水艦2隻によって追尾されたと英メディアが報じた。

さらに、中国海軍は8月6日から10日にかけて南シナ海で軍事訓練を行うことを発表した。中国海軍局によると、訓練区域とみられる進入禁止区域の範囲は、海南島南東沖から西沙諸島の広い海域という。

これは、インド国防省は8月2日に「クアッド」と呼ばれる日米豪印4カ国の戦略枠組みによる西太平洋の演習「マラバール2021」への参加を正式発表した直後のことだ。

クアッドによる共同演習について、中国外務省は9日の声明で「中国は関係国が国際法を順守し、南シナ海諸国の主権、権利、利益を尊重し、地域の平和と安定を損なわないことを望む」と述べた。

中国は、海洋貿易上の主要なルートとなる南シナ海で、軍事と政治の力を発揮し、覇権的な影響力を拡大させている。アジア地域を今後の主要な発展地域とみる主要国は、南シナ海をルールに基づく地域として維持していくために、安全保障に加わる。7月末以降、少なくとも8カ国が海軍艦艇を派遣する計画を示している。

7月の日英防衛相会談のあと、英海軍は日本、シンガポール、オーストラリアなどを支援するために、哨戒艦2隻を8月末にインド太平洋地域に常時展開させることを発表した。

これに反発して、中国は南シナ海に向けて「空母キラー」とも呼ばれる中距離弾道ミサイルの実験を行うことも考えられる。この実験は昨年8月にも行われた。読売新聞によれば、この発射実験は航行中の船を標的にしていたことについて中国軍関係筋と米軍高官がみとめたという。

いっぽう、6月から7月にかけて、米軍は米空母対衝撃実験をフロリダ沖で行い、成功したと発表した。報告によれば、この実験成功により中国「空母キラー」ミサイルへの抑止力に貢献するといわれている。

米海軍は、中国の海軍力の急速な発展を受け、その優位性を維持しようとしている。 6月発表の米国政府の文書には、321~372隻の有人船艦隊を維持する計画が記されている。2020年の時点で、中国海軍は360隻の艦船を保有しており、アメリカ海軍は297隻だ。しかし、米国は空母11隻(中国2隻)、巡洋艦・駆逐艦を92隻(中国33隻)保有しており、さらには空母を保持してからの経験の長さから、中国よりもはるかに高い海軍力を持つといわれる。

(翻訳編集・佐渡道世)