9月29日、台湾の歴史研究機関・国史館は90年代に撮影されたある写真をフェイスブックに投稿した。「この若い日本の衆議院議員は誰でしょう。知っている人はいませんか?」と利用者にクイズを出した。ヒントとして、「日本の100代目の首相になる人」と付け加えた。
投稿された写真の中の人は、1994年9月に李登輝総統を敬意訪問する自民党の岸田文雄・新総裁。当時37歳だ。
岸田氏は旧広島1区から選出の衆議院議員として2年目を迎えた当時、李氏と面会した。岸田氏は、自民党青年局の塩谷立(しおのや・りゅう)議員率いる訪台団のひとりとして総統府を訪れていた。岸田氏は1997年にも、安倍晋三党青年局幹部(当時)が率いる同局一行とともに再び訪台した。
台湾メディアの報道は岸田氏について、李登輝氏の1994年広島アジア大会出席を支持した日本の議員のひとりとしてエピソードを紹介している。広島選出の岸田氏は、李氏の広島訪問は大会運営側の判断に委ねられているが、「台湾には台湾の、北京には北京の見解がある。第三者の立場である日本は合理的かつ正当な判断をすべきだ」と主張したという。結果的に、李氏の大会出席は中国政府の強い抗議により実現せず、徐立徳行政院副院長が訪日した。
岸田家は台湾と縁がある。台湾中央社によると、岸田氏の曾祖父である岸田幾太郎氏は日本統治時代、基隆市の繁華街として栄えた通りの角の建物で、「岸田呉服店」と「岸田喫茶部」を経営していた。70年余りの歴史を刻む石造りの建物はいまも現存しており、台湾政府の補助を受けて修繕工事が行われている。
基隆市の林右昌(りん・ゆうしょう)市長は中央社の取材に対し、「このような縁があることは非常に光栄であり、日本との交流深化を願っている」と語った。
台湾の蔡適應立法委員(国会議員)は、基隆市の最高学術研究機関である中央研究院の地図プロジェクト・台湾百年歴史地図の一部に、岸田呉服店が記録されていることをソーシャルサイトで紹介した。「今後とも、台湾と日本が友情を基盤にして、 より緊密な関係に向けて動いていくことを期待している」とコメントした。
(蘇文悦)
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