海外の原子力業界への進出を加速している中国は、ヨーロッパで頓挫した。英国、チェコ、ルーマニアは相次ぎ、自国の原子力発電所建設から中国企業を締め出すことを決定した。米ラジオ・フリー・アジア(RFA)が1日、報じた。
チェコ大統領府の報道官が9月27日に発表した声明によると、ミロシュ・ゼマン大統領は同日、上下両院が承認した「低炭素法」に署名した。法案は、ドコバニ原子力発電所の原子炉2基増設計画の候補企業からロシアと中国の企業を除外することを定めている。チェコ与野党は、ロシアと中国企業による原子力事業への参加は、国家安全保障上のリスクがあるとの共通認識を持っている。チェコ政府は議会の反発を受けて、ドコバニ原発の拡大計画を巡って、今年3月に中国国営企業、中国広核集団(CGN)を候補企業から排除した。
英国はこのほど、国家安全保障などの理由から、中国企業と原子力産業との提携を見直している。英政府とフランス電力会社(旧フランス電力公社、EDF)が、同国のサイズウェルC電子力発電所(Sizewell C)の建設事業に共同で200億ポンド(約3兆248億円)の出資を計画している。このため、英政府は中国のCGN社に対して、同社が持つサイズウェルC原子力発電所の株式20%の売却を求めており、交渉を行っているという。
英議会外交委員会のトマス・タジェンダット(Tom Tugendhat)委員長は、電力システムの重要技術を「われわれの価値観に賛同しない国」に破壊されてはいけないと述べた。
英国も米国と同様に、近年、中国企業の技術がもたらす安保上の脅威に対する懸念を強めている。同政府は昨年、2027年末までに英国内の次世代移動通信システム(5G)ネットワーク構築から、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)の機器をすべて撤去すると発表した。
ルーマニアの国営原子力発電会社(SNN)は2019年5月、中国のCGNと合弁会社の設立で合意した。中国側は51%出資すると示した。しかし、2020年5月末、ヴァージル・ダニエル・ポペスク経済相はSNNに対して、CGNとの交渉を中止するよう求めた。
ルーマニアの立法機関は今年4月、ファーウェイを含む中国企業が5Gネットワーク構築への参与を禁止する法律を制定した。
(翻訳編集・叶子)
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