中国軍機の防空識別圏(ADIZ)侵入が繰り返され、安全保障上の危機に直面する台湾だが、この数日で主要国の議員や高官が訪れている。5日に到着したオーストラリアのトニー・アボット元首相は呉外相と蔡英文総統と面会した。フランスの上院議員団も6日に訪台し、蔡英文総統らと面会した。
これらの要人訪問で、台湾はTPPのような国際的枠組みへの加入に向けた動きを加速させることを目指すとみられる。
フランス議員、中共の妨害一蹴し台湾訪問
AFP通信によると、アラン・リシャール(Alain Richard)元国防相を団長とする6人の議員団は、10日まで滞在する予定だ。リシャール議員は上院の台湾友好議員連盟の代表を務めており、訪台は今回で3回目となる。
台湾外交部は、リシャール氏ら議員団の訪台を歓迎した。そして「台湾が困難に直面しているとき、フランスから良き友人が訪れてくれた。連帯は私たちに勇気と辛抱強く踏ん張る力を与えてくれた」とコメントした。7日には呉外相と会談し、互いに共有する課題や、協力の可能性を秘めた分野について議論したという。
フランス議員団の台湾訪問に対し中国共産党は激しく反発した。これに対し仏外務省は、議員団には台湾を訪問する自由があるとして一蹴した。議員団の台湾訪問計画が発表された2月には駐仏中国大使が中止を求める書簡を送ったが、相手にされなかった。
アボット元首相「民主主義国同士で団結を」
オーストラリアのアボット元首相は7日、蔡英文総統と会談し、台湾とオーストラリア間のパートナーシップ関係について意見交換を行った。蔡英文氏は、オーストラリアがクアッド加盟国との連携を強化し、台湾海峡の平和と安定に貢献していることを強調した。そして、アボット氏が台湾とオーストラリアの経済協力協定(ECA)を支持し、環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)への台湾の加盟を後押ししていることについて感謝の意を表した。
アボット氏は台湾の成熟した民主主義を高く評価し、多くの方面では世界の模範的存在であると讃えた。同時に、台湾の反映を快く思わない国が周辺に存在する状況においては、民主主義国家は互いに強く団結すべきだと述べた。
アボット氏はまた、台北で8日に開かれる台湾政府系政策シンクタンク「台湾アジア交流基金」が主催する国際会議・玉山フォーラムに参加し、基調講演をする予定だ。主催側によると、5年目を迎える玉山フォーラムには10カ国から要人が集まる。会議は公式サイトで、「多面的な地域のつながりを促進し、パートナーシップを強化することを目的としている」と説明されている。
フォーラムの名前に因んだ玉山は台湾中部に位置する山で、東アジアで最も標高が高い(3952メートル)。台湾人にとって向上心など精神の象徴的な意味を持つ。日本の富士山とは2014年、それぞれの山岳協会によって友好の山協定が結ばれた。
(佐渡道世)
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