米CIA、中国専門組織を設立「最も重大な脅威」に焦点をシフト

2021/10/08 更新: 2021/10/08

米中央情報局(CIA)は7日、中国に特化した専門組織「中国ミッションセンター(CMC)」を新設すると発表した。「最も重大な地政学的脅威」と位置付ける中国に焦点をシフトし、対中情報活動における強化を図る。

ウィリアム・バーンズ長官は、CMCは中国に対する情報収集や分析能力を強化し「中国がもたらす世界的な脅威」に対応すると説明した。CIAは中国語を話せる人材の確保を強化し、中国の専門家を世界各国に配置するという。

バーンズ氏は「我々が21世紀に直面する地政学的に最も重大な脅威、つまり敵対的な動きを強める中国政府に対し、全体的な取り組みを一層強化する」と述べ、脅威は中国国民ではなく中国共産党政権だと強調した。

また同氏は「CIAはこれまでの歴史の中で、あらゆる課題に立ち向かってきた」とし、「大国間の競争が激化する新時代に入り、地政学的に最も厳しい試練に直面している今、CIAはこの取り組みの最前線に立つだろう」と述べた。

米司法省は2018年、中国の経済スパイなどに対抗するため、「チャイナ・イニシアチブ(China Initiative)」を開始。経済スパイとして起訴したうち約80%が中国に利益をもたらしていると警鐘を鳴らした。米連邦捜査局(FBI)のクリストファー・レイ長官は9月、同局が「中国共産党に対する防諜活動は12時間ごとに行っている」と述べた。

CIAは組織改変の一環として、トランプ前政権時代に設置されたイランと北朝鮮のミッションセンターを、中東ユニットと東アジア・太平洋ミッションセンターにそれぞれ統合し、台頭する中国との競争へと焦点をシフトさせる。ほかにも新技術や経済安全保障、気候変動やグローバルヘルスなど「米国の競争にとって重要なグローバルな問題に取り組む」部署も設置する。

マルコ・ルビオ上院議員は、CMCの設立を歓迎し「中国共産党の脅威は現実であり、拡大している」と指摘。「政府のあらゆる部門が、メッセージ、構造、行動に、この大国間競争を反映する必要がある」と述べた。

元CIA情報員のサム・ファディス氏は「中国は何十年にもわたり、米国のあらゆる機密情報を盗んできた」とし、2021年になってようやく中国共産党が大きな脅威とみなされるようになったのは「CIAの中国政権への対処が遅かったことを意味する」と述べた。

(翻訳編集・山中蓮夏)