オーストラリアのトニー・アボット元首相は、10月8日に台湾で開催された玉山論壇(玉山フォーラム)に出席し、中国共産党への期待は打ち砕かれたとスピーチを行った。また民主主義同盟国と台湾との連携が喫緊の課題となっていると強調した。
アボット前首相は、中国を刺激することを恐れ、2年前に台湾で開催された玉山フォーラムへの出席を断ったという。しかし、中国共産党の香港に対する弾圧やウイグル族への迫害などをめぐり、中国共産党に対する見方が変わったと述べた。
台湾の蔡英文総統や呉釗燮外相などが出席したフォーラムで、アボット氏は「(中国は)オーストラリアに対して、大麦、ワイン、石炭の輸出を不当に停止した」と述べ、「中国共産党は貿易を武器化している」と指摘した。また中国が現地の大使館を通じて発表した14の抗議項目は「自尊心のある国(オーストラリア)が中国の従属国になるよう要求しているようなものだ」と批判した。
アボット氏は当時首相として就任していた際、豪中自由貿易協定に正式署名し、中国が設立を主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加する意向を表明。中国と民主主義諸国との信頼関係を構築することや、ルールに基づく世界秩序に中国が関与できると考えていたからだと、当時を振り返った。しかし、今ではその期待は打ち砕かれたと語った。
しかし、オーストラリアは中国人と中国共産党とを区別をしているとし、「オーストラリアは中国との貿易や投資、観光客を歓迎しているが、中国の不当な圧力にはこれ以上屈することはない」と強調した。
台湾との団結呼びかけ
アボット氏は、中国の深刻な脅威に直面する台湾を念頭に、民主主義同盟国に対し台湾との連携が喫緊の課題となっていると強調した。
「力がピークに達したと感じている中国は、社会の高齢化や経済の成長鈍化、財政の悪化により、すぐにでも悲惨な行動に出る可能性がある」と指摘した。しかし「台湾がのみ込まれるのを、米国は傍観していられるとは思わない。2500万人近い人口を持つオーストラリアも台湾の情勢に無関心であるべきではない」と述べ、台湾との団結を呼びかけた。
さらに「我々の課題は、予期せぬことが起こらないようにすることだ」と述べ、中国が台湾に圧力をかけようとするならば、「計り知れない結果」がもたらされるべきだと強調した。
また、台湾の環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の加入を民主主義国で支援すべきだと指摘。「より良い世界を望むのであれば、台湾との連帯以上に緊迫した課題はない」とし、「勇敢で自由なこの島(台湾)に寄り添う」と述べた。
(翻訳編集・山中蓮夏)
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