米企業から機密情報を盗んだとして起訴された、中国国家安全部のスパイである徐延軍容疑者の裁判が20日、米オハイオ州シンシナティの連邦裁判所で行われた。検察側によると、同容疑者の逮捕後、使用していた携帯電話のデータが遠隔操作によって削除されたという。米メディアABCが同日、報じた。
中国江蘇省国家安全庁第六局の幹部だった徐容疑者は複数の米航空企業から商業機密を窃盗し、経済スパイ活動にも関与したとされている。2018年4月にベルギーで逮捕され、同年10月に米国へ引き渡しされた。
同容疑者は、第三国から米国に身柄を引き渡された最初の中国諜報員だ。
裁判所が公表した起訴状によると、2013~18年4月にかけて、同容疑者は米ゼネラル・エレクトリック(GE)社の航空部門を含む、複数の米航空宇宙関連企業に接触した。
徐容疑者は、中国の大学に招待する名目で企業の専門家に中国旅行を手配し、旅費と手当を支払った。徐容疑者は専門家らから航空関連の機密情報を盗もうと企んでおり、中国旅行は商業機密窃盗計画の一環だとされる。
ベルギー警察が2018年4月1日、ブリュッセルのショッピングモールで徐容疑者を逮捕した際、携帯電話4台、メモリーカード、現金などを押収した。
FBI捜査官は20日、陪審員に対し、1台の携帯電話のデータが何者かによって遠隔操作で削除されたと明かした。
FBIは押収した別の携帯電話の中から、ファンブレードの複合材料と寸法に関する資料を見つけた。検察側によると、これは中国側が米GE社から盗もうとした技術の一部だという。
徐容疑者の携帯電話の中に、GE社のエンジニアの家族旅行写真を発見した。徐容疑者は同エンジニアをスパイとして勧誘しようとした。
徐容疑者は自分がスパイであることを否定した。
同容疑者の代理弁護士は、この事件に関わる材料は「合法的な技術交流」によるものであると主張している。
(翻訳編集・李凌)
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