中国当局が23日に一部の都市で不動産税を試験的に導入すると決定する前、上海市で15日、不動産所有者が住宅物件93軒を一斉に売り出したと報じた。事前に情報を入手した可能性があるため、波紋を呼んだ。
複数の中国政府系メディアは25日、偽の情報だと主張したが、ネットユーザーは不信感を示した。
中国版ツイッター、微博(ウェイボー)では23日、「上海市で15日、ある謎の男性が同じ集合住宅団地内の93軒の住宅物件を一斉に売り出した」との投稿が注目を集めた。
物件は地元名門校の学区内にあるため、購入希望者1000人が殺到したという。警官が投入され、警備に当たっていた。所有者は代金の1回支払いを求めた。投稿によると、全物件に同日、買手が付き、所有者は現金4億5000万元(約80億3200万円)を獲得した。
一部のネットユーザーは、「上海市中心部の団地で約100軒の物件を持つこの人物は、絶対にただ者ではない」とした。また、「この人物は不動産税の導入を事前に知ったから、売り出しを決めたに違いない」と指摘する声もある。
25日、「毎日経済新聞」や「第一財経」などの中国政府系メディアは相次いで報道記事を掲載し、微博上の投稿は「事実ではない」と主張した。中国メディアは、不動産開発企業、世茂集団の傘下企業「蘇滬区域公司」が93軒の物件を所有しているとし、売り出した理由は不動産税の導入と無関係だと説明。
ネットユーザーは当局の報道に納得できず、「果たして真相は本当にこれだけなのだろうか」と微博上で疑問を呈した。
物件が売却された15日の翌日、中国共産党理論誌「求是」は習近平国家主席の評論記事を掲載した。習氏は、「不動産税の立法と(不動産税制度)改革を推進し、試験導入に取り組む」とし、格差を是正し「共同富裕」を実現するために不動産税の導入を明示した。
(翻訳編集・張哲)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。