中国湖北省・武漢の村で24日、村幹部一家5人が刃物で殺害される事件が発生した。容疑者の男は逃走中にさらに2人を殺害している。
動機は不明だという。一説によると、男は立ち退きの補償金をめぐって同幹部とトラブルになっていた。
男はその後、川に飛び込み、現在、所在がわからなくなっている。
今月10日にも、中国の福建省の村で、一家殺傷事件が起きていた。2人死亡し、3人が負傷した。
容疑者の男は新居の建設をめぐって長年、村の有力者による理不尽な扱いを受けていた。5年間、一家5人は鉄の板で覆われた小屋での生活を強いられた。
当局に繰り返し陳情してきたが、解決されなかった。事件があった日、2人は些細なことで口論になり、男は刃物で相手とその家族を襲った。長期にわたっていじめに遭った男の境遇は世論の同情を集めた。
立て続けに起きた村幹部と住民の対立に端を発した殺人事件に、ネット上では、
「農村で暮らす人であれば、誰でもわかっている。村の委員会は村の有力者やマフィアらによって掌握されている。長年にわたり不当な抑圧を受けている村民らは、村を離れることもできず、ただ耐えるしかない」との指摘が書き込まれた。
これを受け、中国の事情に詳しい静岡大教授で文化人類学者の楊海英氏は26日、ラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に応じ、「中国では、市民と幹部の争いを仲裁したり、あるいは市民に正義をもたらす第三者がいないため、不平や冤罪を訴えるところのない市民はしばしば、このような極端な手段をとってしまう」と述べた。
「中国では党は永遠に正しいため、その党が過ちを犯したとしても、人民にそれを正す権利がない」という。
「類似の事件が繰り返し起きていることからも、中国の官民関係が常に緊張状態にあることを反映している」と同氏は指摘した。
(翻訳編集・李凌)
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