東欧諸国を歴訪中の台湾の呉釗燮(ゴ ショウショウ)外交部長(外相)が今週、欧州連合(EU)本部があるブリュッセルを非公式訪問する予定だという。米メディア・ポリティコが27日に報じた。
呉外交部長のチェコとスロバキア訪問は公表されているが、ブリュッセル訪問は非公開だ。欧州議会の対中関係代表部のラインハルト・ビュティコファー議長は、政治ニュースサイトのポリティコ欧州版に対し、同氏のブリュッセル訪問の知らせを受けたと回答した。
EU報道官は、今回の訪問は「非政治的である」と述べ、「外交上の承認がなくても、我々は台湾と関わっていく」と付け加えた。
ポリティコは、G20期間中に反中イベントを催す主催者側の情報として、呉氏が寄り道してローマを訪れ、同イベントに飛び入り参加する可能性がある、と伝えた。
近年、共産主義体制を経験したリトアニアやチェコが台湾と急接近している。台湾は7月、リトアニアの首都ヴィリニュスに台湾の代表機関「台湾駐リトアニア代表処」の開設を発表した。代表処の名称に「台湾」を入れたのは初めてだ。
チェコのビストルチル上院議長は昨年8月、中国の強い圧力を押しのけて、外交関係の無い台湾を初めて訪問した。
中共ウイルス(新型コロナウイルス)の流行や香港問題、新疆ウイグル人への人権弾圧などで、中国との関係が悪化している欧州諸国は台湾との関係を深めている。
一方、中国の王毅国務委員兼外相は27日から、ギリシャなど欧州4カ国を歴訪している。台湾と欧州諸国の関係深化を止めたい思惑があるとみられる。
こうした中、フランスの欧州議会議員ラファエル・グリュックスマン氏が率いる欧州議会代表団が来週、台湾を訪問する。
中国外務省の趙立堅(チョウ リッケン)報道官は定例記者会見で、EUの議員らが予定通り台湾を訪れる場合、中国政府は「さらなる対応を繰り出す」と圧力をかけた。
グリュックスマン氏は今年3月、新疆ウイグル人問題をめぐって中国政府から制裁を受けていた。同氏は当時、「ウイグル族擁護のために制裁を受けるのは、私の勲章だ」と表明するなど対中強硬派として知られている。
(翻訳編集・叶静)
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