中国共産党の重要な政治会議「6中全会」で11日、党の歴史を総括する3度目の「歴史決議」が採択された。決議の全文は公開されていないが、討議の内容をまとめたコミュニケでは習近平主席を毛沢東、鄧小平の各時代を継ぐ指導者と位置づけた。来年の党大会で党トップとして異例の3期目入りを目指す習氏の権力掌握をさらに強化する狙いがあるとみられる。
国営メディアによると、採択されたのは「党の100年奮闘の重大な成果と歴史的経験に関する決議」。北京で8日から非公開で開催された総会で「中央委員会と党全体における習近平氏の核心的地位の確立」を定めた。習近平思想は「中華民族の偉大な復興を実現させるガイドラインだ」と意義を強調した。
中国共産党が歴史決議を採決したのは、結党以来の歴史の中で今回を含めて3回のみ。一回目は毛沢東、二回目は鄧小平の時代だった。中国共産党が習近平氏の任期内に歴史決議を行うことからは、その地位を毛沢東や鄧小平と同等にしようとする意図と見られている。
コミュニケによると、6中全会では習近平氏が唱える「中国の特色ある社会主義思想」が指導的な精神として謳われ、習氏を核心とする中国共産党指導部が様々な難題を解決したと喧伝された。
国営放送CCTVの映像によると、党の代表者たちは全会一致で決議に賛成したという。
台湾の国立政治大学の李酉潭教授は大紀元の取材に対し「異論が許されない」共産主義体制の下ではごく当たり前の結果だと答えた。会議では「中国共産党の輝かしい成果」が強調されているが、「初心を忘れてはならない」と幹部たちが団結を呼びかけるなど、党指導部の不安定さを示していると指摘。「中国共産党はリーダーシップを取ることが最優先であり、その核心にいるのが習近平氏だ」と語った。
米国の中国情報誌「北京の春」の名誉編集長・胡平氏は大紀元の取材に対し、今回の歴史決議では習近平氏本人を際立たせていると指摘した。また、文中における「習近平」の名前の出現回数が毛沢東よりも多いことを鑑みれば、習近平氏は鄧小平のみならず毛沢東をも超越しようとする野心があると推測できるという。
さらに、今回は個人崇拝を肯定した。党中央政策研究室の江金権主任は12日の記者会見で「どんな指導集団にも核心が必要だ、と鄧同志は指摘していた」と述べ、習近平氏の権威を盛り立てた。
胡平氏によると、旧ソ連ではスターリンの死後、個人崇拝が下火になった。そして鄧小平時代に出された2番目の歴史決議には、個人崇拝に反対するとの基調があった。このため、個人の権威を高める気運は歴史の潮流に逆らうものだと語った。
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