日本と台湾の地方議員による「日台交流サミット」が12日、神戸市内で開催され、国際機関への台湾の加盟を支持する内容等を盛り込んだ「神戸宣言」が採択された。中国大使館から開催中止を求める圧力があったにもかかわらず、会場には過去最多となる500人超の参加者が集まった。中国共産党の脅威に対抗し台湾を支持する風潮が地方で広まっていることを示す出来事となった。
日台要人が出席、友好関係を促進
日台交流サミットは双方の地方議員が交流する場として2015年から毎年開催されている。今年は台湾の謝長廷・台北駐日経済文化代表処代表が出席したほか、参議院議員の和田政宗氏や片山さつき氏、300人以上の地方議会議員が参加した。参加者の人数は例年よりも約200人多く、最高記録を更新した。
頼清徳副総統はビデオメッセージのなかで、日本政府がコロナ禍のなか複数回に渡り救援物資を提供したことに感謝の意を表明した。「日台友好のために強固な基礎を築き、民主主義を深化させ、経済を繁栄させ、そしてインド太平洋地域の平和と安定を守り抜く」意志を示した。
半導体受託生産世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県に工場を設置することにも言及し、双方の経済安全保障に寄与するものだと展望した。
謝長廷代表は挨拶のなかで、今年6月11日に参議院が台湾のWHO総会参加を支持する決議を全会一致で可決したことに触れ「これは歴史上初めてのことで、大変貴重なこと」だと述べた。
「神戸宣言」で台湾の国際機関加盟を支持
今年の日台交流サミットでは「神戸宣言」が採択され、サミットの実行委員会事務局長を務める上畠寛弘・神戸市議が読み上げた。
宣言では、日本と台湾は法の支配や自由と民主主義、人権の尊重などの普遍的価値観を共有し、日台友好は「人類の福祉の向上と世界平和に貢献する」ものであると謳った。
そのうえで、経済や防災などの分野での連携協力の促進や、日台関係基本法の制定、台湾の国際機関への参加実現に向けた日本の取り組み強化などが提言として盛り込まれた。
中共に屈しない地方議員、全国で日台友好を推進
日台交流サミットの開催を巡って、上畠寛弘・神戸市議は先月中旬ごろに、中国共産党側から中止を求める行為があったとツイッター上で明らかにした。
上畠氏によると、「中国総領事館政治部主任」と名乗る者から神戸市に抗議の電話があった。さらに第7回日台交流サミットの中止も要求されたという。これに対し、上畠氏はツイッターで「日台の絆は不滅です。中共に屈しない」と投稿した。
サミットに参加した埼玉県議の鈴木正人氏は出席者が過去最多を記録したことについて、中国共産党の脅威に対する認識が「日本の隅々まで浸透していること」の証だと述べた。
「呼びかけに応じて地方議員が365人も集まるのは、議員野球大会のような楽しいことでも聞いたことがない」と鈴木氏は語る。
日中友好議連などがコロナ禍により活動休止するなか、多くの地方議員が神戸に集まったのは「台湾は日本の生命線んであることが、地方議員レベルでも広がっていった結果」であり、「全国的にそのような風潮があったから」と指摘した。
中国共産党の圧力に反発するように、日本各地の地方議会では台湾を支持する動きが広がっている。
2020年、兵庫県議会と神戸市議会は3月25日と3月26日にそれぞれ、WHO(世界保健機関)に台湾がオブザーバー参加することを支持する決議案を採択した。他にも37の地方議会で同様の決議案が可決している。
日本と台湾の地方自治体が互いに友好交流協定を締結する動きもある。今年6月には京都市と台南市、9月には京都市と高雄市がそれぞれオンライン形式で協定締結式を行った。
これに先立ち、県内の市議会では台湾との結びつきを深めようと、日台友好議員連盟(友好議連)の設立が相次いでいる。
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