インドのビピン・ラワット国防参謀長は11日、中国がインドの安全保障上の最大の脅威であると明言した。また、中国が両国国境間の「実行支配線」に沿って数万人の軍人を配置していると述べ、地域の緊張は長期化するとの見方を示した。ニューデリー・テレビジョン(NDTV)が報じた。
ラワット氏は、中国とインドの国境紛争を解決できない理由は、信頼関係の欠如と懸念の増大にあると述べた。先月、中印の両軍は国境問題をめぐり会合を開いたものの、主張が対立し、緊張の緩和に向けた道筋は見えていない。
中国とインドは、支配地域を分ける境界線として実効支配線を協定で定めている。昨年6月、インド北部ラダック地方にある中国との係争地域で中印両軍が衝突し、1975年以来、45年ぶりに死者が出た。これまで両軍の間には銃器を使用しないとの合意があったが、中国兵は有刺鉄線を巻いた金属バットや釘を埋め込んだこん棒でインド兵を攻撃した。この戦闘でインド軍は20人、中国軍は4人が死亡したとされる。
両国の緊張状態が続くなか、中国は先月、国境付近の管理を強化するための「陸地国境法」を可決、成立した。国境で中国側が進めるインフラ整備などを正当化するねらいがあるとみられる。ラワット氏はこれを非難し「インドは、国境や海でのいかなる災難にも備えている」と中国を牽制した。
今月初め、米国防総省は、インドの北東部に位置するアルナーチャル・プラデシュ州で、中国が違法な建設活動を行っているとの報告書を発表した。ラワット氏はこの報告について「中国は実効支配線に沿って、おそらく民間人の宿泊所や軍用の村を建設している」とブルームバーグの取材に述べた。
インドのアリンダム・バグチ報道官は、国境沿いの中国の建設活動について「なかには何十年にもわたって不法に占拠してきた地域も含まれる。インドはいかなる中国の不法占拠も不当な主張も認めない」と語った。
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