複数国、台湾の潜水艦建造計画を水面下で支援=報道

2021/12/02 更新: 2021/12/02

中国が台湾に対する軍事的圧力と脅威を高める中、複数国の政府と専門家による水面下の協力で、2025年に台湾で初となる国産ディーゼル潜水艦が完成する予定。ロイター通信は11月29日に伝えた。

ディーゼル潜水艦は、台湾が何十年も前から調達を試みたが入手できなかった兵器である。

台湾の最大の武器供給国である米国は、長らく原子力潜水艦を製造しており、ディーゼル潜水艦は数十年間生産していない。ディーゼル潜水艦を生産する能力を持つ他の国々は中国当局からの圧力や報復を恐れて、台湾の発注を受けることに消極的だった。

同報道によると、 いま中国が台湾への軍事的威嚇をエスカレートさせる中、複数国の潜水艦技術メーカーが政府の承認を得て、台湾独自の潜水艦製造計画に協力しているという。

台湾の潜水艦国家製造計画は2017年に始まり、国家中山科学研究院が設計を、台湾造船株式会社が製造を担当し、合計8隻で、開発・建設の予算総額は160億米ドル(約1兆8240億円)。昨年11月24日、蔡英文総統は同計画の実施を発表し、米国の対台湾窓口機関である米国在台湾協会(AIT)の当時のブレント・クリステンセン所長も着工式に出席して関心をよんだ。

ロイター通信によると、同計画が始まって以来、少なくとも7カ国から潜水艦の設計・建造に必要な主要技術、部品、専門家を水面下で集めた。米国は、戦闘システムやソナー装置などの主要技術を提供する。

英国の防衛・軍事企業は、同計画に重要な技術支援を行っている。 英政府は過去3年間に、英企業が台湾に潜水艦の部品、技術、ソフトウェアを供給するための輸出許可を多く承認した。

ロイター通信の調査によると、台湾は近年、オーストラリア、韓国、インド、スペイン、カナダなど少なくとも5カ国からエンジニア、技術者、退役海軍幹部を募ることができた。

同潜水艦建造に必要な主要部品と技術をすべて調達できたという。

ロイター通信は2つの消息筋からの情報として、潜水艦の主要設備の供給に合意していたドイツの企業が昨年、急きょ同取引を打ち切ったと報じた。中国で広く事業展開している親会社が反対したためだという。

ロイター通信の取材に応じた諸外国の外交官らは、台湾が独自の潜水艦を作るために必要な技術と設備の調達に成功したことは、中国の軍事的拡張や、台湾への軍事的圧力の増強に対する欧米諸国の懸念を反映しているとみている。

米国務省の報道官はロイターに対して、「米国は、台湾が十分な防衛能力を維持するために必要な防衛装備品やサービスを提供し続ける」とコメントした。

台湾が計画通り8隻のディーゼル潜水艦の建造に成功すれば、その自衛力は大きく向上する。

ロイター通信は、欧米、日本、台湾の退役潜水艦将校の見解として、新たに建造した8隻の潜水艦と、現在就役中の2隻のシードラゴン級潜水艦が、台湾に侵攻する海軍艦隊にとって致命的な脅威となると報じた。これらの潜水艦は、爆発力の高い魚雷や対艦ミサイルを装備しており、上陸部隊を輸送する中国海軍の艦艇に有効な攻撃を展開できるという。

ロイター通信によると、日本は、中国との経済・貿易関係や利害関係により、台湾の同潜水艦国家建設計画への参加を見送ったという。

(翻訳編集・叶子静)

関連特集: 台湾海峡の風雲