中国の最高人民検察院(最高検察庁に相当)は11月30日、中国国有武器製造企業、中国兵器工業集団有限公司(以下は中国兵器工業集団)の尹家緒・前会長兼党委員会書記(65)を収賄罪などの容疑で、上海市第二中級法院(地裁)で起訴するよう上海市検察当局に指示したと発表した。
検察当局は、尹容疑者は国有自動車メーカー、長安汽車と中国兵器工業集団の在任中に「他人から多額の金品を違法に受け取った」と批判した。
尹容疑者はまた、重慶長安民生物流股份有限公司の会長を務めた際、一部の事業を親族に担当させ「国家の利益に莫大な損失をもたらした」とした。検察側は、収賄罪と親族に不正な利益を供与した罪で刑事責任を追及すると示した。
尹容疑者は2002年1月以降、中国兵器装備集団有限公司の副社長、党組副書記を担当しながら、長安汽車(集団)公司の会長、社長、党委員会副書記などを兼任していた。05年~09年12月、中国南方工業汽車股份有限公司の社長を務めた。10年7月以降、中国兵器工業集団の党組書記、副社長などを歴任し、13年に同社の会長に就いた。18年8月に退任した。
中国兵器工業集団は、国務院(内閣)国有資産監督管理委員会の管轄下にある中国最大の武器装備製造企業で、主に戦車や装甲車、無人偵察機、ミサイル、爆弾などを製造する。
中国共産党中央規律検査委員会は今年4月、「重大な規律違反」の疑いがあるとして、尹容疑者への調査を始めたと発表した。9月、共産党は尹容疑者の党籍を剝奪し、同容疑者について「両面派(言動に裏表のある人)だ」「(党の反腐敗)調査に抵抗した」と非難。10月25日、最高人民検察院は尹容疑者を正式に拘束すると発表した。
中国当局は昨年5月、中国船舶重工集団有限公司(CSIC)の胡問鳴前会長を「重大な規律違反」の疑いで調査していると発表した。今年2月、検察当局は、同容疑者を収賄罪と職権乱用の罪などで起訴した。
尹容疑者は、胡被告に次いで、今年失脚した中国武器製造業界で2番目の大物幹部だ。
日経アジア5月の報道によると、尹容疑者と胡被告は中国共産党内の江沢民派閥のメンバーだ。胡問鳴被告は、江沢民と同じく江蘇省揚州市出身で、江沢民政権の下で急速に出世した。報道は、習近平現政権は、軍事関連産業においても江沢民の影響力を排除しようとしているとの見方を示した。
(翻訳編集・張哲)
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