ブリンケン米国務長官は3日、もし中国が台湾に軍事侵攻するなら「多くの人にとって恐ろしい結果になる」と述べ、緊張の高まる台湾海峡で「危機を起こさないように」と中国共産党指導部を強く牽制した。
ブリンケン氏はロイター通信主催の「ネクスト・カンファレンス」に出席し講演した。中国は近年、挑発的な軍事行動や国際的な孤立化を図るなどして、台湾をめぐる現状を変更しようとしていると指摘した。
台湾が侵略されるシナリオで米軍派遣を約束しているのかとの質問に対して、ブリンケン氏は兵器や軍用品の供与や売却を通じて「台湾の自衛能力を支える」と従来の米国の立場を繰り返し説明した。
質問はアフガニスタンの米軍撤退とその後のタリバン支配にも及んだ。アフガン情勢をふまえ、中国が台湾に対して軍事行動を起こした場合、同盟国を安心させるうえでも米国が介入するのかとの質問には「アジアやヨーロッパなどの同盟国やパートナーは非常に強い再結合、再活性化、再確認をこの(バイデン)政権に見ていると思う」と述べ、介入に関する明言は避けた。
北京冬季五輪の開催を間近に控えるなか、中国共産党は依然として台湾に圧力をかけ続けている。台湾国防部によると、中国軍が連日のように台湾の防空識別圏に侵入しているため、台湾空軍はその対応に追われている。
いっぽう、欧米諸国は中国共産党を警戒し、けん制する動きを見せている。
米国と欧州連合(EU)は2日と3日にワシントンで高官会議を開催、対中国政策とインド太平洋地域への関与について協議を行い、中国共産党の拡張的行動に共通の懸念を表明した。2日に発表された共同声明のなかで、南シナ海・東シナ海、台湾海峡における中国の行動は「地域の平和と安全を損なう」ものであると強調した。
安倍晋三元首相は1日、台湾のシンクタンクが主催するフォーラムでオンライン講演を行い、中国が台湾に武力攻撃すれば日米同盟の有事になるとの認識を示した。さらに「台湾の自由と人権を保障することは日本だけでなく世界全体の利益になる」と語り、台湾への国際的な関与と支援を呼びかけた。
米国やリトアニア、フランスなどの現職国会議員も続々と台湾を訪問し、蔡英文総統以下政府高官と面会している。米下院議員団を率いて台湾訪問したマーク・タカノ退役軍人委員長は11月26日、蔡英文総統との会談で、台湾は世界における「善に向けた力」だと称え、米台関係は過去数十年で「最も生産的だ」と述べた。
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