中国国境と東南アジアの内陸国であるラオスの首都を結ぶ、高速鉄道が3日、運行を開始した。ラオス経済の活性化に繋がると期待されているいっぽう、債務の罠を懸念する声が上がっている。
中国雲南省の省都・昆明とラオスの首都・ビエンチャンを結ぶこの路線は全長およそ1000キロ、時速160キロで走行。ビエンチャンから両国の国境まで3時間で到着する。
5年かけて完成した同鉄道は中国側が613キロ、ラオス側が422キロとなっており、中国基準で建設された。中国の巨大経済圏構想「一帯一路」のプロジェクトの一環となっており、将来的にタイ、マレーシア、シンガポールを結ぶ計画だ。
同日の開通式には、中国の習近平国家主席とラオスのトンルン・シスリット大統領らがオンライン形式で出席した。シスリット大統領は、ラオスが陸の孤島から脱却したと歓迎した。
いっぽう、ラオスは鉄道建設のために中国から多額の融資を受けている。その返済能力を懸念する声も上がっている。
世界銀行が昨年発表した報告書によると、同鉄道のラオス国内の総事業費は約60億ドル(約6800億円)となっている。
そのうち7割は中国、残り3割はラオス政府が負担しているが、35億ドル(約3955億円)を中国政府系の金融機関から借り入れた。
ラオスの昨年の国内総生産(GDP)は200億ドル(約2兆2600億円)にとどかなかった。
鉄道の収益が上がらず、債務を返済できなくなった場合、権益などを中国に譲渡する恐れがある。
ラオスのBounchom Oubonpaseuth 財務相は国会で、「今後5年間、政府が支払わなければならない利子だけでも毎年4億ドル(約452億円)以上だ。我々は節約しなければならない」と述べた。ラジオ・フリー・アジア(RFA)がこのほど、報じた。
報道は、あるラオス人の金融専門家の話を引用して、「ラオスは中国から多額の借金をしている。政府はこの鉄道が国の経済活性化につながることを望んでいるが、非常に長い時間がかかる」と指摘していた。
(翻訳編集・李凌)
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