豪複数のメディアによると、中国IT大手テンセント(騰訊控股)が開発・運営するSNSアプリ、微信(ウィーチャット)を利用している同国のモリソン首相が、自身の公式アカウントへアクセスできなくなった。これを受け、政治家に微信を使用しないよう求める声が出ている。
豪紙デイリー・テレグラフは23日、約7万6000人のフォロワーを持つモリソン首相の微信公式アカウント名は密かに「Scott Morrison」から、中国語の「澳華新生活」に変更されたと報じた。「澳華新生活」のプロフィールは、中国語で「豪州の華僑に生活情報を提供する」と紹介する。
首相側はアカウントへのアクセス権を取り戻すために、複数回にわたり微信に問い合わせを試みたが、返答はなかったという。
情報・安全保障に関する議会合同委員会の議長を務めるジェームズ・パターソン上院議員(自由党)は24日、豪ラジオ局4BCに対して、今年5月に控える総選挙を前に、中国当局はモリソン首相に対してネット検閲を実施し始めたと非難した。
「中国政府が(首相の)アカウントをブロックしたのは、選挙イヤーで豪州の民主主義への外国干渉に当たる」とパターソン議員は述べた。議員は、微信を利用することは言論統制と検閲への「黙認」であるとして、他の議員や政治家に微信をボイコットするよう求めた。
同議員はまた、微信を利用する豪州の中国系住民120万人はモリソン政権が発信する情報を得られない一方で、野党労働党指導者アンソニー・アルバネーゼ氏の政府批判の投稿を目にすることを懸念した。
デイブ・シャルマ下院議員(自由党)は24日、スカイ・ニュースに対して、微信は中国当局の支配下にあると指摘し、「当局の許可」でモリソン首相のアカウントがブロックされたと述べた。
微信は過去にもモリソン首相の投稿を削除したことがある。2020年11月30日、中国外務省の趙立堅報道官はツイッター上で、豪軍の兵士がアフガニスタンの子どもを殺しているように見せかけた偽写真を投稿した。12月1日、首相は微信上で声明を投稿し抗議を行った。その後、微信側はこの声明文を削除した。
デイリー・テレグラフなどによると、微信の使用ポリシーは海外のユーザーに対して制限が多く、「アカウントの運営者」を登録する際、中国国民の身分証明書番号、または中国国内に登録されている企業名を必要とする。
首相側は2019年、中国の仲介会社を通じてアカウントを開設した。同会社は昨年7月以降、アカウントへのアクセスが断続的にできなくなったと訴えた。
(翻訳編集・張哲)
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