北京大学元教授の鄭也夫氏はこのほど、台湾に対する武力統一および軍事威嚇に反対すると表明し、話題を呼んだ。鄭氏は、軍事威嚇は戦争を誘発する恐れがあると懸念し、一刻も早く止めるよう呼びかけた。
社会学者の鄭氏は22日、ネット上SNS上に出した声明で、武力攻撃に反対し「戦争を止めるには、世論の力が最も重要だ」と反戦世論を形成する重要性を強調した。
声明は、「武力による威嚇は必ず(台湾人の)憎悪感情を強め、平和統一につなぐ微かな望みを失わせる」と現状に対する懸念を示した。同氏は「70年余り台湾は事実上、独立している」と指摘し、「45年間、名実ともに独立していた」西ドイツと東ドイツがその後、統一を果たしたことを挙げた。
武力による威嚇は戦争を招くと警告し、「威嚇をエスカレートさせると、中国も台湾も米国も引き下がらなくなる」とし、「台湾に対する軍事威嚇は一刻も早く止めるべき」と主張した。
同氏は「言論統制により、武力統一に反対する言論は公的な場でほとんど消えており、この中で戦争反対の声を上げることは実に大事だ」などと声明文を公開した理由を述べた。
いっぽう、米ラジオ・フリ・アジア(RFA)24日付によると、鄭氏は「私はさらに大きなトラブルに巻き込まれたくない」と話し、RFAを含む海外メディアの取材を断っている。同氏は「自分の考えはすべて声明文のなかに書いた」とRFAに述べた。
産経新聞台北支局長の矢板明夫氏は自身のフェイスブックで、「専制政治のなかで、知識人としての良心と勇気を示した」とコメントし、鄭也夫氏にエールを送った。
在米中国人学者の胡平氏は、鄭也夫氏の北京大学での同僚だった。胡氏によると、鄭氏は2018年末に発表した評論記事で、中国共産党最高指導者が歴史に残せる唯一の功績は「中国共産党体制を歴史から体裁よく終結させること」だと述べた。
(翻訳編集・叶子静)
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