カナダ政府が中国バイオ企業との間で進めていたワクチン開発プロジェクトは失敗に終わった。カナダ放送協会(CBC)が27日、伝えた。
中国天津市に本部を構える康希諾生物股份公司(カンシノ・バイオロジクス、以下はカンシノ)は2009年、カナダの留学経験を持つ中国人科学者によって設立された。同社はカナダの研究機関に太いパイプを持ち、カナダのバイオ技術を使って、エボラ出血熱や中共ウイルス(新型コロナウイルス感染症、COVID-19)のワクチンを開発した。
2020年5月、カナダにCOVID-19ワクチンが迅速に供給されるよう、カナダ政府が所管する国家研究評議会(NRC)はカンシノ社との間で契約を結んだ。同報道によると、同年5月、中国軍の研究機関とカンシノ社が開発したワクチンをカナダで臨床試験(治験)を行う計画だった。治験が成功すれば、同年夏にモントリオールの工場で生産開始予定だった。
NRCのレポートによると、同工場は毎月7万~10万回のワクチン生産を見込んでいた。NRCはこの生産施設に4400万カナダドルを投じるなど、生産体制を構築しようとしていた。
しかし、5月にカナダに到着予定だったカンシノ社のワクチンは、中国税関当局によって差し押さえられた。カナダの駐中国大使館は中国の税関当局に対して働きかけたが、拒まれたという。
マギル大学の安全保障問題専門家、ベン・ファン(Ben Fung)氏は昨年10月、CBCに対して、「カンシノ社は中国軍と中国政府とつながっている」と指摘した。同氏は、中国当局の命令でワクチンが税関当局に差し押さえられたと推測する。
当時、カナダの上級裁判所は、2018年12月に逮捕した中国通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟被告(当時)の審理で、被告の「起訴内容はカナダで罪に当たらない」とする主張を退け、同被告の米国への身柄引き渡しに向けて審理を続けるとした。
ファン氏は、「中国共産党がカンシノ社の真の上層管理者である」と非難した。
(翻訳編集・張哲)
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