村落襲撃事件をめぐるナイジェリア当局の不対応を報じたことで現地当局に拘束されていた大紀元記者ルカ・ビンニヤット氏が3カ月ぶりに釈放された。28日に起訴される予定。専門家は「報道は犯罪ではない」として起訴の不当性を指摘する。
ビンヤット氏の拘束はカドゥナ州マダマイ村で小さな子供たちなど38人が虐殺された惨事をめぐる、警察や政府の不対応を描いた昨年9月の記事に関連しているとされる。サイバーストーカー行為を行ったとして、当局は11月にカドゥナの治安判事裁判所に起訴した。
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ジャーナリスト保護委員会のジョナサン・ローゼン氏はビンヤット氏の釈放は歓迎するが、そもそも逮捕自体が不当だと指摘。「(当局は)すべての刑事手続きを取り下げるべきだ」と大紀元にコメントを寄せた。
「ジャーナリズムは犯罪ではない。報道を理由に人が投獄されることのないよう、当局は法律を改正すべきだ」と付け加えた。
同氏の起訴理由となったサイバーストーキングとは「インターネットを通じて、特定の者に違法行為や傷害の恐れを抱かせる目的で、脅迫や嫌がらせをする行為」という。学者・研究者向けSNSのリサーチゲートがナイジェリアの法律を説明している。
ハドソン研究所のニーナ・シェイ氏は「犯罪を報道することはメディアや民主主義の真髄だ」と述べ、記者としての義務を果たすビンヤット氏の報道姿勢を支持した。また、大量虐殺と当局の怠慢を報道してジャーナリストが起訴されたならば「カドゥナ州が非道な無法状態に陥ったことを表している」と非難した。
ジャーナリスト保護委員会(CPJ)によれば、カドゥナ州では2017年以降「平和の侵害」などの容疑でジャーナリストが投獄され、報道を取り巻く環境は悪化している。
ナイジェリアで2019年に大統領候補として出馬した経験のある反体制派オモイェレ・ソウォア氏は、ビンニヤット氏の不法な拘束は報道関係者の置かれる過酷な状況を示していると語った。同氏は現在、首都アブジャで軟禁状態に置かれている。
FOXニュースの戦争特派員であるララ・ローガン氏はビンニヤット氏を「すべてのジャーナリストが見習うべき存在」と称えた。再び収監のリスクに直面する状況を懸念し「良心あるすべての人がビンニヤット氏の人権を尊重するように」と呼びかけた。
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