岸田首相は25日の記者会見で、ロシア軍によるウクライナ侵攻はアジアを含む世界情勢に影響すると改めて述べた。また、軍事侵攻のような国際法違反行為の抑制のためには国際連携が必要との考えを強調した。台湾海峡と日本の安全保障について記者に問われ答えた。
岸田氏は会見でロシアに追加制裁を発表した。ロシアの個人・団体の資産凍結やビザ発給停止、金融機関対象の資産凍結、ロシアの軍事関連団体への輸出規制リスト品目、半導体など汎用品のロシア向け輸出制限を盛り込んだ。
サハリンにおける日本とロシアのガス田開発共同事業の継続の是非について問われた岸田氏は、欧米同様エネルギー事業は今回の制裁対象ではないとした。いっぽう今後も制裁対象から除外するかどうかは「関係国との連携を重視して対処する」と述べた。
24日にロシアのプーチン大統領はウクライナに対する軍事作戦決行を発表した。ウクライナのゼレンスキー大統領は同日の映像演説で、ロシアの侵攻により少なくとも民間人を含む137人が死亡し300人以上が負傷したと明らかにした。また、自身と家族もロシア軍の標的になっているが国内に留まるとした。
議員も台湾海峡に言及
今回のウクライナ侵攻をめぐり、複数の国会議員は日本の安全保障環境や台湾海峡の情勢に言及している。中国共産党は台湾併合には武力行使も辞さないと公言しており、25日も中国軍用機9機が台湾の防衛識別圏に侵入した。沖縄に近い台湾の有事は日本の防衛にも関わる。
松原仁衆議院議員は中国やロシアを隣国とする日本の状況とも「完全にリンクする。日本は国家主権を守る国家だと強烈なメッセージを出すべきだ」と訴えた。松原氏はロシア非難決議の提出を検討するとした。
自民党青年局長の小倉將信衆議院議員は、ロシアの軍事侵攻について「少しでも理解を示す国が存在することも到底容認できない」と中国などを暗に批判した。中国は今回の行動を「侵攻」とは明言していない。「我が国の主権、領土、国民を守るためには理想主義に浸るのではなく、徹底した現実主義に立たなければならない」と小倉氏はツイートした。
音喜多駿参議院議員は、一方的な特定地域の独立承認や「平和維持」を名目にした軍の派遣といった今回のロシアによる侵攻は、他の覇権国家も模倣しうると指摘。中国により同じ計画が台湾に発動される可能性があると述べた。
ウクライナ侵攻では軍事・非軍事の複合戦争「ハイブリッド戦」が採られた。長島昭久衆議院議員はこれを観察してきた中国がロシアに「支持」を示したことは日本に重大な意味を持つと指摘。沖縄県の帰属に疑義を呈し、台湾に軍事圧力を強める中国への警戒心を示すとともに、さらなる防衛力強化の必要性を訴えた。
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