[リビウ(ウクライナ) 15日 ロイター] – ウクライナ紛争を巡り、ロシア政財界幹部への制裁が強化される中、米国は中国に対し、ロシアに軍事・経済的支援を行わないよう警告した。ウクライナとロシアの停戦交渉は14日にいったん中断されたが15日に再び行われる見通し。
ロシアのプーチン大統領が2月24日にウクライナへの侵攻を命じて以来、激しい戦闘と砲撃で数千人が死亡している。
停戦交渉のウクライナ側交渉団のポドリャク大統領顧問は14日、この日の協議が中断され、15日に継続されると明らかにした。
米高官によると、ウクライナ紛争を巡り、中国はロシア側の要請に応じて軍事的・経済的援助を行う意思を示した。一方、ロシアは中国による軍事援助などの報道を否定し、自国に十分な軍事的資源があると説明。中国外務省も報道は偽情報だと述べた。
米国のサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は中国の外交担当トップの楊潔篪・共産党政治局員とローマで7時間にわたり「集中的に」協議。危機管理と戦略リスクについて意見を交換したほか、北朝鮮問題についても協議した。米国務省のプライス報道官によると、サリバン氏は、中国の対ロシア支援に「直接的、かつ極めて明確な」懸念を表明し「いかなる国もロシアの損失を埋め合わせをすることは認めないと、中国政府には非常に明確に伝えた」という。
<「戦争反対」>
ロシアでは14日、国営テレビ「チャンネル1」の生放送中に、ウクライナ侵攻に反対する女性が登場する出来事があった。
女性は、ニュースを読み上げるキャスターの背後で、ロシア語と英語で「戦争反対。戦争をやめろ。プロパガンダを信じるな。この人たちはあなたにうそをついている」と書いたプラカードを掲げ、「戦争やめろ。戦争反対」と叫んだ。
英国防省は、ロシアがウクライナで化学兵器や生物兵器の使用を計画している可能性があるとの見方を示した。具体的な証拠は示さず、ロシア軍が攻撃を受けたかのように演出し、それに対し化学・生物兵器を使用する可能性があると指摘した。米国当局も同様の見解を示している。
英国防省は、ウクライナが化学・生物兵器の使用を計画しているというロシアの主張を裏付ける証拠を確認していないとした。
ロシア軍に包囲されたウクライナ南部のマリウポリから14日、160台以上の車両が出発したと地元当局が発表した。人道回廊を通じたマリウポリからの住民の退避が初めて成功したもようだ。
国連は、ロシアの軍事侵攻開始以降、280万人以上がウクライナから逃れたと発表している。
<追加制裁>
フランスによると、欧州連合(EU)加盟国は14日、対ロ制裁第4次パッケージに合意した。
詳細は公式には明らかにされていないが、外交筋によると、ロシアの鉄鋼の輸入禁止、高級品の輸出禁止、エネルギー部門への投資禁止などが含まれるという。また、サッカーチーム「チェルシー」のオーナー、ロマン・アブラモビッチ氏とその他14人がEUのブラックリストに加えられることになるという。
日本政府は15日、ロシアの国会議員ら17人の資産凍結を発表した。
ロシア財務省は14日、外貨建て債務の返済に関する一時的措置を承認したと発表した。制裁の影響で銀行が元々の通貨での返済が困難な場合はルーブル建てでの返済になるとした。
ウクライナ紛争を巡り、ロシア政財界幹部への制裁が強化される中、米国は中国に対し、ロシアに軍事・経済的支援を行わないよう警告した。ウクライナとロシアの停戦交渉は14日にいったん中断されたが15日に再び行われる見通し。写真はローマで14日撮影(2022年 ロイター/GUGLIELMO MANGIAPANE)
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