元カナダ閣僚のデービッド・キルガー氏が逝去 中国臓器狩り調査など人権問題に尽力

2022/04/07 更新: 2022/04/11

カナダ政府元閣僚で作家のデービッド・キルガー氏が5日、首都オタワで死去した。81歳だった。キルガー氏は中国の臓器強制摘出問題の調査やルワンダの民族虐殺問題など国際的な人権問題に尽力し、受賞した経歴を持つ。

キルガー氏は難治の肺の病気を患っており、病状がこの1か月で急速に悪化した。家族によると、死の直前まで世界中の友人や活動家と連絡を続けていたという。

1979年5月から2006年1月まで、キルガー氏はアルバータ州選出の下院議員を務めた。その間、閣僚としてラテンアメリカとアフリカ担当国務大臣、アジア太平洋担当国務大臣を歴任。中国共産党による法輪功学習者への拷問や不当な監禁について調査を行ったほか、ルワンダでの大量虐殺といった人権問題にも取り組んだ。

デービット・キルガー氏(右)とデービット・マタス氏(左)が出演したドキュメンタリー映画「人狩り」はピーボディ賞を受賞した(Peabody Awards)(Benjamin Chasteen/Epoch Times)

中国共産党が組織的に行っている、法輪功学習者や良心の囚人からの臓器強制摘出の問題についても調査を行い、2006年には共著で報告書「戦慄の臓器狩り」を発表。以後、国連を含め日本や北米、欧州の議員や人権組織のイベントで講演し、人道に対する犯罪の停止を訴えた。2010年には人権弁護士のデービッド・マタス氏とともにノーベル平和賞候補としてノミネートされた。

直近までカナダや台湾、インドの新聞に寄稿。昨年11月にチェコで開かれたウェビナーに出席し、ソ連崩壊の民主主義の台頭および中国の政治的失敗について基調講演を行った。

英拠点の香港人権団体「香港ウォッチ」代表で人権活動家のベネディクト・ロジャース氏は訃報に触れ「政治、人権そして個人的にも私のヒーローのひとりだった」とキルガー氏の死を悼んだ。

日本の安全保障、外交、中国の浸透工作について執筆しています。共著書に『中国臓器移植の真実』(集広舎)。
関連特集: 北米・中南米