中国共産党による最先端技術の窃盗により、米国の安全保障や経済が脅威に晒されている。マーク・グリーン米下院議員は、中国共産党の影響力拡大を抑えるためにも、中国への重要技術の輸出を禁止する法案を議会で可決するよう求めた。
グリーン氏は6日、米シンクタンク・ハドソン研究所で講演し「米国の主権、安全保障、繁栄に対する最大の戦略的脅威は中国(共産党)だ」と力説した。中国共産党は学生や米国の大学を取り込み「あからさまな窃盗作戦」を展開していると警鐘を鳴らした。
米司法省はここ最近、スパイ行為を行ったとして中国共産党の「秘密工作員」5人を起訴するなど警戒を強めるいっぽう、人種差別を煽っているとして中国の技術盗用の摘発などを担う「チャイナ・イニシアチブ」を終了した。この判断について、中国共産党の脅威に有効に対抗できない恐れがあると一部の米議員は懸念している。
グリーン氏は、中国共産党は南米やカリブ海の権威主義体制を敷く政府を支援するため技術を輸出し、西半球における米国の影響力の弱体化を狙っていることにも触れ、同氏が2019年に提出した「中国技術移転管理法(China Technology Transfer Control Act)」の成立を訴えた。
中国共産党は自国企業の発展を促すハイテク産業育成政策「中国製造2025」を2015年に発表した。次世代情報技術や電力設備など10の重点分野で「世界トップ」を目指す長期戦略だ。グリーン氏は「中国技術移転管理法」はこれに対抗するものだと強調する。
同法案は人工知能や量子コンピューティングなど「中国製造2025」にあるすべての技術を米国輸出リストに追加し、輸出する場合は米国政府の許可を得るよう義務付ける。米国が中国への重要技術の流入を事実上遮断することで、中国共産党政権によるリバースエンジニアリングを阻止しようというものだ。
グリーン氏は法案を提出した際「機密性の高い知的財産を盗んだり、脆弱な米国企業を食い物にするなど、中国共産党は米国民、自国民、そして世界に多大な被害をもたらしながらその野望を追求してきた」と非難した。
同法案は成立すれば、中国共産党を知的財産の国際的窃盗犯として明確に非難する最初の法案になるという。
「中国共産党は世界のリーダーである米国に代わって、自分たちのルールを国際秩序に持ち込もうとしている」とグリーン氏。「これは自由と民主主義、言論の自由、プライバシーに対する脅威だ」
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