中国政府は、中共ウイルス(新型コロナ)の感染拡大で都市封鎖が続く上海市に軍を派遣し、市政府の防疫対策に協力させている。一部の専門家は、上海市は事実上、軍の管理下に置かれたと指摘した。
国営新華社は10日付の評論記事の中で、上海市の今の感染拡大防止対策は「最も重要で、最も苦労する段階に入った」と強調した。記事は「できるだけ早く『ゼロコロナ』を実現しなければならない」とし、ゼロコロナ政策を堅持することが上海市の感染拡大を抑制する最善の方法だと主張。
この状況下で、中国指導部は今月初めから、軍の部隊を上海市に派遣した。軍機関紙・解放軍報3日付によれば、軍当局は、上海市の防疫対策を支援するために、陸軍、海軍と聯勤保障部隊の7つの医療機関から総勢2000人規模の「医務官」を上海市に送った。
7日と8日、中国空軍の複数のY-20輸送機が上海虹橋国際空港に到着した。
中国軍事に詳しい大紀元のコメンテーター、夏洛山氏は、Y-20輸送機は通常1回の飛行で「兵士100~200人を運ぶのは全く問題ない」と述べた。最新のY-20輸送機なら400人を運べるという。
中国メディア「光明網」によると、7日、中国軍中部戦区の湖北省武漢市駐屯地の医務官ら450人と同戦区の四川省駐屯地990医院の医務官ら150人が、高速鉄道で上海市に向かった。
いっぽう、同時期にインターネット上では、武装警察の部隊が上海市に入り、市が軍の管理下に置かれたという情報が流れた。投稿によれば、各住宅地で住民に対する外出・移動制限の実施状況を監督するために、武装警察が2人ずつ配置されたという。
上海市ネット規制当局、市党委員会インターネット情報弁公室と政府系新聞紙・解放日報は8日、これらの投稿について「事実ではない」と主張した。
時事評論家の唐靖遠氏は大紀元に対し、「上海市は、少なくともその一部の地域が軍の管理下に置かれた」との見方を示した。
唐氏は、上海市政府は3月末に都市封鎖を実施する前まで、中央政府に要求された「ゼロコロナ」政策を実行したことがなく、ある程度のウイルスとの共存を模索しながら防疫対策を講じ、都市封鎖を拒んできたと指摘した。
「都市封鎖を始めてから、食料の調達難、医療へのアクセス制限、乳幼児も含めて親と子供が別々に隔離されたことで、市と中央政府に対する住民の不満と怒りが高まっている。この背景の下で、中国指導部は軍の医療幹部を上海市の各区に派遣し、防疫対策の主導権を握らせたのではないか」
「中国指導部はこの方法で、上海市の幹部らを中央政府の命令に服従させ、ゼロコロナ政策を完全に実施させる狙いだ」と唐氏は述べた。
時事評論家の陳破空氏は9日、自身のYouTube時事チャンネルで、上海市に送られた軍の部隊は「(不満を持つ)上海市民を威嚇し、治安維持の役割を担っている」とした。
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