岸田文雄首相は18日、来日したスイスのカシス大統領兼外相と会談した。両国は共通の価値観に基づく良好な関係を築いていくとの考えを共有した。首相は「ロシアの侵略が欧州のみならずアジアを含む国際社会の秩序の根幹を揺るがす中、今ほど国際社会の結束が求められている時はない」と述べ、普遍的価値を共有するスイスとも連携していく考えを示した。
スイス政府によると、カシス大統領は両国が「民主主義、法の支配、ルールに基づく国際秩序といった原則が危ぶまれる時代に我々は生きている」と語り、同志国間の団結の重要性を強調した。また永世中立国であるスイスだが「中立性は、戦争犯罪の疑いや国際法の基本規範への無関心を意味するものではない」と述べた。ロシアには厳しい制裁を継続しつつウクライナを最大限支援していくと語った。
両首脳は昨年の日・スイス租税条約改正議定書の署名や在大阪スイス領事館の開設を歓迎し、2024年の国交樹立160周年に向けて友好関係を発展させていくことで一致した。このほか岸田氏はスイスが欧州連合(EU)による日本産食品への輸入規制措置を適用していることを踏まえ、規制撤廃に向け協力を求めた。
カシス氏は同日、林芳正外相とも会談し対露制裁とウクライナ支援で協調していくことで一致した。19日には小林鷹之経済安全保障担当相と牧島かれんデジタル担当相と会談し、両国の貿易、投資、イノベーション、科学、デジタル分野におけるパートナーシップの強化について協議する。
日本とスイスは共に2023〜24年の国連安全保障理事会の非常任理事国選挙に立候補しており、選挙は今年6月に行われる。
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