中国の欧州企業が加入する在中国欧州連合(EU)商工会議所のヨルグ・ウトケ(Joerg Wuttke)会長は16日、米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)のインタビューで、中国政府が中共ウイルス(新型コロナ)の感染を徹底的に抑え込むために実施している大規模な封鎖措置に対し、強い失望感をあらわにした。
ドイツ出身のウトケ氏は1982年、中国に渡って以降、中国で断続的に33年間生活し、中国の政治・経済に精通している。同氏は、都市封鎖を含む中国政府の強硬的な措置によって、全体主義体制に対する恐怖を覚えたと述べ、中国で今起きている危機的状況は1989年天安門事件や1997年アジア金融危機よりも「深刻だ」と指摘した。
在中国EU商工会議所は今月初め、中国の感染対策とロシアのウクライナ侵攻による在中国欧州企業への影響に関して、独調査会社ローランド・ベルガー(Roland Berger)と共同調査報告書を発表した。
報告書によれば、アンケートに回答した在中国欧州企業372社のうち23%は中国本土での投資を他国に移転することを検討している。数としては、今年1月にアンケートを実施した際と比べて2倍以上となった。また、少なくとも3分の2の企業は今年の業績が10%減少すると予想している。
外資企業が中国から他国へ生産移管を加速していることに対して、中国国営・新華社は12日、『動態(ダイナミック)ゼロコロナは中国と世界経済により大きな確実性をもたらした』と題した評論記事を掲載し、外国企業に辛抱して中国から撤退しないよう呼びかけた。
ウトケ会長は、中国のゼロコロナ政策は持続不可能であるだけでなく、中国経済に不可逆的なダメージを与えているとの見解を示した。
同氏は、中国政府が都市封鎖方針を変えなければ、サプライチェーンは徐々に中国国外へ移転すると指摘した。欧米企業にとっては、高い移転コストよりも封鎖がもたらす不安の方が耐え難いためだという。
会長は、「ゼロコロナ」政策による中国経済への打撃を認識する一部の中国当局者はいるが、中国共産党の第20回党大会で習近平国家主席が再選されても、中国政府が年内に「ゼロコロナ」政策を緩和することは望めないと、悲観的な見方を示した。
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