今月に入ってから中国の安徽省など10の省・市で中共ウイルス(新型コロナウイルス)の感染者が増加傾向となった。海外メディアは、中国政府が製造業の集中する長江デルタ地域で再び「ゼロコロナ」政策を実施するのではないかと不安視している。
中国政府の公表によると、安徽省泗県では過去8日間の累計新規感染者が858人となった。安徽省各県や隣省の12都市で感染者が急増したのを受け、人口100万人未満の泗県は6月29日から住民の外出・移動を規制し始めた。
安徽省宿州市も今月4日、事実上の封鎖措置を始めた。また市政府は4~6日までに、全市民を対象にPCR検査を3回行うと決めた。
安徽省に隣接する江蘇省の南京市や無錫市、蘇州市、浙江省の杭州市や金華市などで新規感染症例が相次いで報告されている。
中国衛生当局の3日の発表では、安徽省や江蘇省、浙江省、上海市を中心とする長江デルタ地域のほかに、山東省や遼寧省、四川省などでも感染者が増えている。
中国政府が今まで厳格な「ゼロコロナ」政策を実施したことで、各地で深刻な二次被害が起きた。また、都市封鎖や工場の稼働停止などで中国経済は急激に悪化し、世界のサプライチェーンも混乱した。
ロイター通信4日付によると、江蘇省蘇州市は3日に公共施設の営業中止、レストランでの飲食禁止、さらに市民にテレワークを呼び掛けた。同省徐州市も同日、市民に不要不急の外出を控えるよう指示した。
過去1週間に新規感染者3人が確認された浙江省義烏市は、北京行きの航空便をすべてキャンセルした。義烏市には世界最大級の日用雑貨卸売市場がある。
ブルームバーグは4日、中国経済にとって重要な役割を担う長江デルタ地域で感染が広がっていることで、世界のサプライチェーンに再び影響が出ると懸念した。江蘇省は中国太陽電池産業の中心地。長江デルタ地域には、米アップルに対して主力製品のスマホシリーズ「iPhone」や「Mac」ノートパソコンの部品や半導体を供給するメーカーが多く集まっている。
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