米国議員からなる対中政策グループ「チャイナ・タスクフォース」は20日、首都ワシントンで、駐米台湾代表(大使に相当)の蕭美琴(ショウ・ビキン)氏を迎え台湾防衛について円卓会議を行った。政治や軍事の面で台湾に脅威を与える中国共産党は「台湾の生存を脅かしている」と蕭氏は述べた。
2020年に結成したチャイナ・タスクフォースは、中国共産党による「悪質なグローバル活動」に対抗するための政策を提言する下院共和党議員主導のグループ。台湾が中国軍の侵略に対抗できるだけの武器の早期提供や、環太平洋合同訓練(RIMPAC)のような国際軍事演習への台湾軍の参加、台湾の国際組織での発言権の強化、米台相互の商業・貿易関係の強化を掲げている。
同メンバーで下院少数派院内総務のケビン・マッカーシー議員は、民主主義的な政治と社会を備え、半導体などの技術力を有する台湾を支援することは「米国の正しい選択であり国益につながる」と主張。グループの対中政策を超党派で支持するよう呼びかけた。
米国は1979年に制定された台湾関係法に基づき、台湾の自衛能力強化に向けて武器を供与してきたが、現在では提供まで遅延が起きている。会議に出席したヤング・キム議員は、台湾への兵器提供を迅速化することを目的とした「武器輸出輸送解決法案」について紹介した。同法案は14日に下院で可決され、2023年度の国防権限法に追加される見通しだ。
「過去2年間にわたり、チャイナ・タスクフォースは中国共産党がもたらす脅威を明らかにしてきた」とマッカーシー氏は述べた。「中国共産党は自ら、冷酷で攻撃的でなおかつ邪悪な独裁体制であることを露わにしてきた。残虐さと力による体制を過小評価してはならない」と強調した。
駐米台湾代表の蕭氏は、武器提供を後押しするタスクフォースの動きに謝意を表した。そして、多くの台湾人は、米国の人権と友情に対するコミットメントを歓迎していると述べた。
蕭氏は、中国共産党の「悪意のある行動」は台湾に対するイデオロギー上の脅威であるにとどまらず、生存権に対する脅威であると述べた。「権威主義への批判を政治システムの競争と見る人もいるかもしれない。しかし台湾にとって、これは生存に関わる問題だ。私たちの自由と、民主的な生活様式の存続が懸かっている」と語った。
そして、台湾海峡の安定を確保し、政治と経済を組み合わせた複合的な手段で台湾の孤立を狙う中国共産党の影響を抑制するためには、米国の継続的な支援が不可欠だと強調した。
タスクフォースの議長を務めるマイケル・マコール議員は、ロシアによるウクライナ侵攻の教訓を挙げ、抑止力強化のために速やかな武器提供が必要だと強調した。マーク・グリーン議員は「中国共産党は台湾に対する脅威を強めている。米国の議員として、中国を抑止して台湾の生存権を確かなものにしていかなければならない」と語った。
米軍上層部は、中国共産党による台湾侵攻は早ければ2027年にも起こりうると警告してきた。米中央情報局(CIA)のバーンズ長官は7月20日、中国はロシアのウクライナ侵攻を観察することで、台湾侵攻には「圧倒的な戦力」が必要であるとの教訓を得ていると指摘。「台湾を支配しようとする習近平主席の決意を過小評価してはならない」と述べた。
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