中国の独立系シンクタンクはこのほど、経済のさらなる減速を懸念して政府に対し、感染拡大を封じ込めるための「ゼロコロナ政策」を見直すよう異例の呼びかけを行った。
シンクタンク、安邦諮詢(ANBOUND)が公表した最新調査報告書は、「新型コロナウイルスによる病気発生リスクが大幅に低減しているため、経済停滞リスクを防ぐことが中国の最優先課題である」との認識を示した。
北京市に拠点を置く安邦諮詢は1993年に設立。マクロ経済、産業政策、国際関係などの分野で研究活動を行う。98年以降、国内経済政策を担う中央財経指導小組に政策の提言・提案を行い、各レベルの政府機関と金融機関に政策や研究活動上の意見をする。
報告書は、中国の感染対策は「世界で最も厳しい」と指摘した。新型コロナウイルス-オミクロン株の感染力が強い一方で重症化率は低いという特徴から、他国は社会経済活動を回復させながら、感染対策を緩和しつつある。しかし今年上半期において、中国経済・政治の中枢である上海市、深セン市、北京市などでは都市封鎖、または一部封鎖が実施された。
報告書は、世界各国がウクライナ侵攻に衝撃を受けているなか、中国は厳しい感染封じ込め政策という別の「戦い」に巻き込まれたとした。この「戦い」は「中国の足を引っ張っている」と指摘。
安邦諮詢は、厳しい「ゼロコロナ政策」は国内の社会経済活動、都市機能、人の移動を「凍結した」と批判。「中国経済はすでに上半期において大きく減速しており、今失速するリスクさえある」という。
中国国家統計局によると、上半期の実質国内総生産(GDP)成長率は前年同期比2.5%増で、4~6月期のGDP成長率は同0.7%増にとどまる。
同シンクタンクは、中国経済が2つのリスクに直面しているとした。1つ目は、感染対策が緩和されても、下半期に景気回復が拡大していないことだ。2つ目は、中国経済の長年の構造問題が表面化しているほかに、不動産や地方政府の負債問題や金融機関の不良債権問題などがさらに悪化して、システミック・リスクに発展していることだ。
報告書は、中国が今直面している「最大の不安」は、感染拡大による経済停滞だとした。
記事は翌日、当局の検閲を受け削除された。
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