AP通信は24日、中国政府は民間船を利用して海軍力を強化していると報じた。
スリランカの港に停泊中の監視装置を積んだ中国科学調査船、南シナ海で係争中の島々の間に数カ月も停泊する漁船⋯専門家はこれらの船は民間船に見えるが、実際は中国の海上能力を強化する軍民融合政策の一環であると指摘した。
中国政府は南シナ海などで、より大きな影響力を行使しようと試みている。中国は台湾周辺で軍事活動を強化し、太平洋諸島との新たな安全保障協定の締結を求めており、南シナ海の係争水域で人工島を建設している。中国の民間船は中国海軍の軍艦数を増やすだけでなく、海軍のために困難な任務を遂行している。
米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)の専門家であるグレゴリー・ポーリング氏は、南シナ海のスプラトリー諸島では、中国政府が同諸島に関する中国側の主張を押し通すために、1年間のうち少なくとも280日の間、錨をおろして漁業操業を行っているとした。
中国政府は何十年も民間のトロール船を軍事目的で使用してきた。「南沙骨干艦隊(Spratly backbone fleet)」が創設以降、このような民間船が急増した。同艦隊は最近、習近平国家主席が主導した政府補助金プログラムから資金を取得した。
ポーリング氏によると、中国がスプラトリー諸島に人工島や港湾インフラを建設した後、中国の民間船は「ほぼ一晩で数百隻が出現した」。この水域では「300~400隻」の民間船が常に配置されているという。
フィリピン大学所属の航海・海洋法問題研究所のジェイ・バトンバカル所長は、「表向きは民間漁船であるため、フィリピン海軍は、民間人に武力行使したと中国に非難されないように、彼らに対処することができないのだ」と訴えた。
同氏は、中国は軍が防衛出動する「有事」でない状況、いわゆる「グレーゾーン」戦略を利用していると批判した。
ポーリング氏が昨年11月に作成した調査報告書は、中国政府の報告書や衛星写真などを分析。これによれば、「南沙骨干艦隊」の800~1000隻の商業用漁船を除き、中国は「プロの海上民兵」が使う船200隻を保有する。
英防衛情報会社、ジェーンズのアナリストは、中国政府は軍事任務のために民間の調査船も配備していると示した。これらの調査船を使うことで、軍事的な緊張感をエスカレートさせない一方で、「中国の存在感を強化することができる」というメリットがある。
インド政府が新しいミサイルのテスト発射を準備していた8月、中国は補給という名目で調査船「遠望5号」を、インド南東部に近いスリランカのハンバントタ港に停泊させようとした。「遠望5号」にはミサイルの追跡設備が備えられ、発射データの収集もできるという。
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