主流メディアや進歩的な政治家は、二酸化炭素(CO2)を有害な汚染物質として取り上げることが多い。しかしある専門家によると、CO2は地球と生命にとって非常に有益だ。
非営利団体「CO2連合」の理事であるグレゴリー・ライトストーン氏は、CO2の役割に関する啓蒙活動を行なっている。同氏によると、CO2は地球の緑化や農作物の成長を助けているという。というのも、植物はCO2を使って水や太陽光を栄養分と酸素に変換している。
同氏はEpochTVの番組「クロスロード」のインタビューで、豊富なCO2は植物の保水力を高め、水やりの回数も少なくて済むのだと語った。そして土壌の保水量を高めることは、世界中の火災を減らすことにも役立つという。
実は1920〜30年代にかけて、現在より多くの火災が発生していたという。米航空宇宙局(NASA)地球観測所の報告書によると、2003〜2019年の間に世界で焼失した年間面積は、およそ25%減少している。そして2017年にサイエンス誌が発表した科学論文では 「農業の拡大と集約化が、火災減少の主な要因」と断言している。ネイチャーに掲載された別の論文によると、1982〜2016年までの間に、樹木被覆は世界で約7%増加した。
温暖な気候のメリット
ライトストーン氏によると、適度な温暖化とCO2の増加が組み合わさると、人類に多くのメリットをもたらすという。
人類の数千年にわたる歴史を振り返ってみると、そこに3つの温暖期があった。それらの温暖期は現在より暖かかったが、CO2のレベルはずっと低かった。「どの温暖期も人類にとって非常に有益でした。食糧も豊富で生活は豊かになり、偉大な文明や帝国が生まれました」
同氏によると、ミノア温暖期と呼ばれる最初の大規模な温暖期は、青銅器時代に始まった。そしてこの時期に興った最初の偉大な文明は、ミノア人やヒッタイト人、バビロニア人、アッシリア人によるものだ。しかしその後に寒冷化し始めると、これらの文明は、ほぼ同時に崩壊した。これは青銅器時代後期の崩壊と呼ばれているという。
「このようなことが何度も繰り返されているのです。温暖期は有益である一方、寒冷期とは作物の不作であり、飢饉や疫病、そして大規模な人口減を意味します」
ミノア文明は紀元前3000年頃に地中海と近東に興り、紀元前1100年頃に突然崩壊した。
2番目の温暖期であるローマ温暖期には、ローマ人はイングランド北部のハドリアヌスの長城付近で柑橘類を栽培していたという。そして最も新しい中世の温暖期には、グリーンランドで今は栽培できない大麦を栽培していたそうだ。つまり「寒さを恐れ、暖かさを歓迎するべきです。歴史は、そう教えています」
地球の理想的な温度
ライトストーン氏はまた、ペンシルベニア州立大学のマイケル・マン教授(地球環境科学)の「地球の理想的な温度は、人間が大気中にCO2を加え始める前の温度だろう」という見解に触れた。
それはつまり、世界は産業革命以前の小氷河期まで戻ることになる。小氷河期は13世紀か14世紀に始まり、19世紀まで続いた。限定的だが実質的な冷却期間で、北半球に影響を与えた。この時期には「アイスランドの人口の半分が死亡、世界の人口の3分の1が死亡しました。これまでの寒冷期を見てもわかるように、地球にとっては非常に悲惨で、暗黒の時代でした」と同氏は説明する。
CO2濃度
産業革命以前、大気中のCO2濃度は280〜300ppm程度だったと推定される。現在は約420ppmであり、140ppm程度増加したことになる。
ライトストーン氏は「CO2が気温を上昇させるという考え方にそぐわないのです」と言い、歴史的に寒冷期のCO2濃度は「比較的平坦」でだったと指摘する。
また同氏は、天然ガスの燃焼による副産物は主に水蒸気とCO2であり 「どちらも非常に有益な分子」であることから、天然ガスはクリーンなエネルギーだと主張する。
一方、国連は、2050年までに全世界のCO2排出量を限りなくゼロにすることを目標に、その削減を推し進めている。その目的は地球温暖化を防ぐべく、地球の気温が産業革命以前と比べて1.5度以上上昇することを抑えるためとされている。
バイデン大統領の計画は、遅くとも2050年までにネットで排出量をゼロにすることだ。天然ガスや化石燃料、石炭はCO2を排出し、これが気候変動の主要な原因とされている。その結果として資本市場は、石油やガス、石炭のプロジェクトから撤退しつつある。
しかし同氏は「煙突から出るのはCO2と水蒸気だけで、どちらも汚染物質ではない。クリーンな石炭発電所を建設することができるのです」という。そして「発展途上国はエネルギーに乏しく、電気が十分に使えません、乾燥した糞や薪で調理や暖房を賄わなければならないのです。しかし私たちは、低コストで信頼性の高く豊富なエネルギーを、石炭のクリーンな燃焼で供給できます」
国連の報告によると、7億8900万人が電気のない生活を送り、30億人が調理や暖房を薪や石炭、炭、動物の糞に頼っている。
真の環境問題
ライトストーン氏は、CO2排出量削減のための資金を、外来種や海面上昇など、真に深刻な環境問題に使うべきと提唱している。
「オレゴン州やカリフォルニア州の火災は、チートグラスのような外来種が主な原因の一つです。これらの火災の多くは、地域社会を破壊した草の火災なのです」。国立公園局によると、チートグラスは一年草で、「それが占有する生態系を完全に変えてしまう可能性があります。大半の在来植物よりも頻繁に燃える傾向があるのですが、火災後には早々に生えてきます。何度も火災が繰り返されるうちに、チートグラスが生態系を支配するようになるのです」
もうひとつ注意すべき環境問題としては、同氏は海面上昇を取り上げる。 「しかし海面上昇は、私たちがCO2を加え始めるずっと以前から始まっており、150年前とほぼ同じ早さで上昇しています」という。「(上昇が)加速しているわけではありません」
(翻訳・大室誠)
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