政府は、2030年度までに温室効果ガスを2013年度比で46%削減する目標を掲げ、さらに2035年度までに60%削減することを検討している。しかし、12日には研究者や若者が都内で緊急集会を開き、政府に対して「さらなる目標の引き上げ」を求める声が上がった。
CO₂排出削減の効果と科学的見解
国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次および第6次評価報告書では、地球温暖化の主因は人間活動による温室効果ガス排出であり、その中でもCO₂が最大の影響を持つ要因と結論づけられている。
一方、一部の専門家は、CO₂削減の効果について異なる見解を示している。
二酸化炭素(CO2)排出量の減少は、最も制限的な状況下でも、効果が出るまでに数百年から数千年の時間がかかると一部の専門家は述べている。
イギリス王立協会の報告書は「地表温度は少なくとも1000年間は高いままであり、過去および現在のCO₂排出により、地球は長期的に温暖化していく」と指摘している。
NASAの公式サイトのFAQページには、
「仮に今日すべての温室効果ガスの排出を停止しても、気温上昇は数年以内に横ばいになるが、その後、何世紀にもわたって高い水準が続くだろう」との記述がある。
そもそもCO2が原因ではないからだと主張する科学者もいる。
理論物理学者で認定コンサルティング気象学者のエドウィン・ベリーは、「CO₂は温暖化の原因ではなく、温暖化がCO₂を増加させている」と述べた。
8月20日、コロラド州立大学所属の物理科学者であるネッド・ニコロフ氏と米国森林局の退職気象学者カール・ツェラー氏は人工衛星のデータを分析し、地球が温暖化したのは、CO2の増加ではなく、その代わりに、地球全体の雲量が減少したため、地表が太陽光をより多く吸収するようになったからだと結論づけた。
最大のCO2排出国は中国
国連環境計画(UNEP) の報告によると、2023年の世界の温室効果ガス排出量は571億トンに達した。
グローバルノートがまとめた国別の排出量は以下の通り:
- 中国:112.18億トン(31.8%)
- アメリカ:46.39億トン(13.4%)
- インド:28.14億トン(17.9%)
- ロシア:16.14億トン(2.8%)
- 日本:10億.12トン(1.8%)
中国共産党は2060年にCO₂排出実質ゼロを掲げているものの、2020年からの5年間は排出量を1割増加させる計画であり、その増加分は日本の年間排出量に匹敵する量になる。さらに、石炭使用量は過去最高を更新中で、大量のCO₂を排出している。
脱炭素政策がもたらす国民負担
日本の脱炭素政策は再生可能エネルギーの導入に大きく依存している。しかし、太陽光発電や風力発電は天候や自然条件に左右されるため、安定した電力供給が難しく、補完として火力発電の稼働が欠かせない状況が続いている。結果として、発電コストの上昇や電気料金の負担増といった問題が生じており、政策の偏りが指摘されている。
2023年6月以来、日本国内で電気料金の値上げが止まらない。値上げの理由としては、ロシアによるウクライナ侵攻などに起因する燃料価格の上昇や円安による物価高などが指摘されているが、注目すべきは再エネ賦課金の増額だ。再エネ賦課金が電気料金に上乗せされており、国民負担が増大している。
この国民負担の増加に関して、キヤノングローバル戦略研究所の杉山大志研究主幹は、「企業が払う分まで含めると、3人家族の世帯で年6万円を超える。再エネ賦課金だけで電気代が1.5倍に跳ね上がる計算だ」と大紀元に語っている。
中国共産党の戦略と国家安全保障の懸念
脱炭素社会の実現に向けた世界的な投資は、中国経済を大いに潤す結果となっている。
- 太陽光パネル、風力発電機器、EVなどの分野で、中国は世界最大の生産・輸出国となり、その利益を独占している。
- 日本や西欧が巨額の温暖化対策費を投入する一方、中国は石炭使用を続け、排出量を増やしながら経済成長を遂げている。
同時に、中国共産党は、脱炭素などの先進的な環境アジェンダを利用して、他国のグリーンエネルギー源に対する支配を広げている。
特に最近、電力網へのサイバー攻撃が警戒されており、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹、杉山大志氏は中国製の太陽光発電や風力発電設備が日本の電力網に多数接続されると、サイバー攻撃のリスクが高まると指摘。発電設備電力を送電網に送るインバーターがサイバー攻撃の対象になると、停電を引き起こしたり、他の発電設備を損傷させたりする可能性があると述べている。
電力分野におけるサイバーセキュリティの重要性については経産省も再生可能エネルギーの導入拡大やデジタル化の進展がサイバーセキュリティリスクを高める方向に働くと指摘している。
イギリスでは中国企業の電力事業への浸透が問題視されており、重要インフラが中国の支配下に置かれる懸念が広がっている。杉山氏はウィル・オンラインへの投稿で、英国の電力網やガス供給網に中国企業が深く関与しており、イングランド南部と南東部、そしてロンドンの配電を管理する香港のCKグループが中国共産党との関係が懸念されていると指摘している。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。