英国の警察は21日に発表した声明で、先16日に英中部マンチェスターの在英中国総領事館で起きた香港のデモ参加者襲撃事件をめぐり、重大犯罪課の捜査官が「暴行や公序良俗違反を含む多数の犯罪」を確認しており、捜査は進行中であると発表した。
マンチェスター警察のクリス・サイクス巡査補佐は声明で、「最初は平和的だったデモがなぜエスカレートするに至ったのかについて調査を続けており、潜在的な容疑者及び被害者を特定している」と述べた。
「事件は敏感であるが、重要なのは客観的な調査である。必要に応じて適宜最新情報を公表し続ける」とした。
マンチェスター警察は現在、監視カメラの映像、警官の個人用ビデオカメラの映像、関連する目撃者からの供述を収集しているとした。また、市民からの撮影映像の提供に感謝の意を示すとともに、ほかにも動画を持っている人は専用のプラットフォームにアップロードするよう呼びかけた。
英公共放送BBCなどによると、先月16日午後、中国共産党第20回党大会の開幕に合わせ、中国総領事館前で香港の自由を訴えるデモが行われていた。午後2〜3時に領事館関係者とみられる人物らが中国共産党を批判するタテ看板を破壊、持ち去ろうとしたところ、デモ隊との間に衝突が発生。その際、デモ参加者1人が敷地内に引きずり込まれ、複数人から暴行を受け負傷した。
暴行を受けたのは香港から英国に移住した30代の男性のボブ・チャンさん。チャンさんは体や顔にけがを負い、1晩入院した。マンチェスター警察によると、現地警察の警官らがチャンさんを助け、敷地外に引き戻そうとした際に警官1人が負傷した。警察は、ほかにもこの事件で負傷した人は通報するよう求めた。
下院のカーンズ外交委員長は先月18日、暴行事件に中国の鄭曦原駐マンチェスター総領事が関与したと述べた。
鄭曦原氏は英スカイニュースのインタビューで、抗議者が中国の習近平国家主席を「侮辱」したため、チャンさんの髪を引っ張ったとし、事件に関与したことを認めた。
「英政府は関与した中国当局者を追放せよ」
事件を受け、中国外務省の汪文斌報道官は先月18日の記者会見で「無法な連中が悪意ある嫌がらせし、中国総領事館にと不法に立ち入り、中国人職員に負傷者が出た」とし、中国領事館の安全が脅かされていると非難した。そのうえで、英国側が確実に責任を果たして、中国の大使館や総領事館の関係者と施設の保護を強化するよう望むと強調した。
在外公館は国際法上で不可侵権が認められており、許可なく立ち入ることができない。
一方、英保守党のイアン・ダンカン・スミス元党首を含む多くの英国議員は、英政府は中国の大使に全面的な謝罪を要求し、鄭氏ら関与した人物を中国へ送還すべきだと述べた。
英ジェシー・ノーマン外務担当相は20日、マンチェスター総領事館にいる中国当局者を起訴する十分な証拠があると英国警察が考えた場合、英側は同領事館が外交特権を剥奪することを期待し、「さもなければ外交的な結果を引き起こす」とけん制した。
英外務省は駐英臨時代理大使を召喚し、平和的な抗議行動を行う権利と英国の法令を順守するよう求めたことを明かした。
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