台湾陸軍将校が中国共産党のスパイ行為で起訴された問題について、国家安全局の陳明通局長は「反逆」相当だと述べた。議員や専門家からはスパイ容疑の厳罰化が必要だとの声が上がる。
立法院(国会)の外交および国防委員会は24日、陳明通氏ほか呉釗燮外交部長(外相)を加え安全保障について質疑応答が行われた。陸軍将校が中国共産党から賄賂を受け取り、仲介者を通じて中国側に情報提供を行っていたとして起訴された事案について議題となった。
検察の起訴状によれば、陸軍大佐(49)は、中国共産党に対する「降伏承諾書」に署名し、中国側に情報を提供する見返りに毎月およそ30万円相当を受け取っていた。将校が署名した「降伏承諾書」には「中国と台湾の平和統一を支持する」、「一日も早い平和統一の使命を成し遂げる」などと書かれていた。
王定宇・立法委員(国会議員)は軍人が中共に忠誠を誓うことなどに関して厳罰化する刑法の法改正が必要だと述べた。
王定宇氏は、台湾は近年、刑法のほか組織犯罪条例、国家安全法、国家秘密保護法など台湾の安全保障法を強化してきたとし、スパイ事件についても同様に厳罰化すべきだとした。今回、将校が行ったような「投稿宣言」や台湾統一の協力などに適用する法律はないという。将校は収賄容疑で起訴されている。
陳明通氏は、非常に不条理な事態であり法改正しなければならないと述べ、将校の行為は反逆であると述べた。
捜査当局によると、事件の仲介者は以前から多くの台湾軍将校に接近し、賄賂の勧誘を行なっていた。この仲介者も中国側から多額の賄賂を受け取っており、国家安全法などで起訴されている。
中央社の報道によれば、仲介者は元記者で旅行事業を経営している。将校の妻が同社に勤務していたことから将校に接近したという。
高雄地検の主任検事である徐弘儒検事は、将校は「賄賂により利敵反逆行為におよび、士気を打ち砕き国家安全に深刻な危害を加えた」として懲役12年を求刑している。
当局は、外国勢力や台湾内の敵対組織による浸透工作への対策を強化し、安全を脅かす重大事件の摘発、防止に努めるとした。
台湾国防部は事件を受けて22日に発表した声明で、軍人教育の徹底を強調し、国家安全局と協力して中国共産党の浸透工作に対処するとした。
台湾国防安全研究院の国防戦略および資源研究所長である蘇紫雲氏は、国外勢力や敵国への忠誠を誓った軍人には無期懲役などの厳罰化が必要だと述べた。
ラジオフリーアジアの取材に答えた蘇紫雲氏は、台湾の法律は中共スパイに対して「教化可能」とみなしており、防止策が不十分だという。台湾が浸透工作や軍事的脅威にさらされる今日、抑止効果が得られる反スパイの法的制裁が必要だと語った。
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