米フロリダ州のロン・デサンティス知事は、中国共産党がもたらす経済的・安全保障上のリスクから、中国企業による州内の土地購入の禁止を検討している。
デサンティス氏は10日の記者会見で、「よりマルクス・レーニン主義的な方向に向かっている」中国共産党は今や「敵対的国家」だと指摘。「中国共産党が農地を購入し、軍事基地の近くに土地を所有することは、フロリダにとって最善の利益ではない」と強調した。
また、中国共産党による農地購入のみならず住宅地購入も阻止するとし「フロリダの経済に中国共産党の影響力を持ち込む必要はない」と徹底的に排除する構えを見せた。
近年、中国がテキサス州とノースダコタ州の米軍基地の近くの土地を購入したことをめぐり、州・連邦政府の政策立案者の間で警戒が高まっている。安全保障の専門家も中国共産党が、諜報活動や米国の国家安全保障上の利益を妨害しようとしていると警鐘を鳴らす。
中国、米土地に毎年数十億ドルを費やす
全米不動産協会によると、2021年4月から2022年3月までに中国の投資家が米国の住宅に費やした金額は61億ドルに上り、支出額では最大の外国人バイヤーとなった。
フロリダ州はその購入ブームの中心となっており、全米の外国人不動産購入の24%を占める。次いでカリフォルニア州(11%)となっている。
こうしたなか、米国では中国共産党と繋がりのある企業が米国の土地を購入することを禁止する法案が相次いで提出されている。
昨年8月には、トム・コットン上院議員らが国家安全保障上のリスクを理由に、中国共産党員や同党と関連する企業・個人による米国の不動産購入を禁じる法案を発表。エリス・ステファニック下院議員も国内の食料供給が脅かされているとし、中国企業などによる米国農業企業の買収を阻止する法案を提出した。
また議会下院では10日、中国の経済力や軍事的な脅威に対抗するための特別委員会の設置が決まった。経済面での中国依存の見直しや知的財産の保護などに向けて調査や政策提言を行うとしており、中国共産党のフロント企業が米土地を買い占める危険性にも言及すると見られる。
いっぽうでデサンティス氏は、中国共産党と繋がりのある企業かどうかを特定するという課題も残っているとし「禁止措置を効果的かつ公正なものにするための取り組みが必要だ」と述べた。
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