1月12日、大統領の弁護士らの発表によると、バイデン氏がシンクタンク「ペン・バイデン・センター」の事務所として、2017年~19年に使用していたオフィスで、オバマ政権時代の機密文書が発見されたという。
機密文書の発見後、ウィルミントンとレホボス・ビーチにあるバイデン邸も捜索されたと、ホワイトハウスの大統領特別法律顧問リチャード・サウバー氏は声明で述べた。
サウバー氏によると、デラウェア州にあるこの2つの自宅は、「2017年の移行期、つまりバイデンが副大統領から民間人に移行する過程で、副大統領室から機密文書が移管された場所のひとつ」であるという。
捜索中、弁護士らはウィルミントンの自宅ガレージにある収納スペースで、機密扱いの表示がある書類を発見した。さらに、隣接する部屋からも機密と記された文書が発見された。
しかし、レホボス・ビーチの自宅では機密文書は発見されなかったという。
ザウバー氏によると、米国司法省には直ちに通知され、弁護士らは文書は司法省の所有とするよう手配したという。
米国司法省は、コメントの要請にすぐには応じなかった。
ホワイトハウスは、司法省による「調査」に協力しており、バイデン邸捜索の時も、緊密な協力関係にあるとした。
バイデン氏は12日朝、記者団に対し、高級車コルベットがある「鍵のかかったガレージ」で資料が発見されたと語った。「私が機密文書と機密資料問題を真剣に受け止めていることを人々は知っている」と同氏は述べた。
以前の発見
バイデン政権は1月9日、機密マークが記された資料が2022年11月2日にペン・バイデン・センターで発見されたと明らかにした。
大統領特別顧問ザウバー氏は、その日に米国国立公文書館(NARA)が警告を受け、翌(3日)朝に文書を回収したという。その後バイデン氏の弁護士は司法省と協力して、オバマ=バイデン政権時代の記録が 「適切に公文書館に保管されているか」 を確認していると述べた。
バイデン政権の関係者は、調査結果の公表を数ヶ月待った理由を説明していない。
バイデン氏は、この発見について「知って驚いた」と述べ、さらに「文書の中身は知らない」と付け加えた。
ホワイトハウスのカリーヌ・ジャンピエール報道官は11日、この件に関してバイデン氏とザウバー氏が共有した内容に相違はないと述べた。この件について記者に繰り返し追及された後、同報道官は 「我々は非常にうまく協力しているが、この種の懐疑的な対立をする必要はない 」と記者に語った。
ドナルド・トランプ前大統領は、2021年の退任後、フロリダ州のマー・ア・ラゴ邸で機密文書を所持していたとして捜査を受けている。
トランプ氏の在任中の文書は2022年にNARAに移管されたが、トランプ氏はその他の文書も保有していた。FBI捜査官は2022年8月にマー・ア・ラゴを急襲し、機密と記された約100件を含む数千件の文書を押収した。
司法省の弁護士は、トランプ氏が文書を保有することで、スパイ活動法を含む複数の法令に違反した可能性があると主張している。
トランプ氏もバイデン氏も起訴されていない。
トランプ氏は、退任前に文書の機密指定を解除したと述べている。大統領には機密解除の権限があり、副大統領にはない。
バイデン氏は昨年、機密文書の取り扱いについてトランプ氏を「全く無責任だ」と批判していた。
オバマ・バイデン政権時代の機密資料が発見されたことについて、FBIはコメントを控えている。
公共の利益
バイデン氏が任命したメリック・ガーランド司法長官は、トランプ前大統領が2024年の大統領選への出馬を表明した後、トランプ氏への捜査を監督するジャック・スミス特別検察官を任命した人物である。
また「私が特別検察官を任命することは公共の利益のためだ」 とガーランド氏は述べた。
共和党はガーランド氏に対して、バイデン氏を調査する特別検察官を任命するよう要求している。
リンゼイ・グレアム上院議員はFOXニュースで「ドナルド・トランプ氏による機密文書の取り扱いの安全性を国民に保証するためには特別検察官が必要であった。つまりバイデン大統領が副大統領時代に機密文書の取り扱いを誤った場合にも特別検察官を適用すべきだ」と述べた。
バイデン氏関連の不動産に家宅捜索を求める声もあった。
「バイデン氏がFBIに捜査されるには、あと何束の機密文書が見つかればいいのだろうか?」とローレン・ボーベルト下院議員(コロラド州選出)は機密文書発見というニュースが報じられた後に述べた。
ケビン・マッカーシー下院議長(カリフォルニア州選出)はワシントンで記者団に対し、「議会の調査が必要だ」「正義は万人に平等でなければならないと思っていない米国人はいない」「現在の政権では、何が出てきても利用や改ざんをし、自分たちの信念のために異なる基準を設定する。米国でこれは通用しない」と述べた。
民主党は、機密文書発見については、肝心なところをざっと触れるだけであった。
今月の新議会から少数派となった下院民主党の院内総務ハキーム・ジェフリーズ議員(民主党)は「私はバイデン大統領を全面的に信頼し信用している」「大統領は事実を判断し、責任を持って善処するために適切な手段を講じ、あらゆる対策を行っていると信じている」と述べた。
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