カナダ政府は14日、国内の研究資金を提供するファンディング機関に対し、「機密性が高い」分野で国家安全保障上で「リスク」をもたらす国家に関連する機関に所属する研究者からの助成金要請を拒否するよう命じると発表した。
カナダのフランソワフィリップ・シャンパーニュ革新・科学・産業相がマルコ・メンディチーノ公共安全相らと発表した共同声明によると、研究者が所属する大学または研究機関が「国家安全保障にリスクをもたらす外国の軍事、防衛、または国家安全保障機関」と関連している場合、カナダイノベーション基金(CFI)などに対し、「機密性が高い」分野において助成金申請を拒否するよう命じるとした。
カナダイノベーション基金のほか、カナダイノベーション基金(CFI)やカナダ保健研究機構(CIHR)、自然科学・工学研究機構(NSERC)、人文・社会科学研究機構(SSHRC)などにも同様の措置を求める。
声明は「カナダの高度な研究エコシステムは世界における研究開発の最前線にあるが、国家安全保障を脅かす外国の関係者にとって魅力的な標的になる恐れがある」と指摘した。
シャンパーニュ氏は15日、記者団から声明で指摘された「リスク」をもたらす国家について尋ねられると、「中国とロシア」だと明かした。「新しい規制は即座に、効果的に実施されるよう、連邦省庁や国家安全保障機関、カナダの研究機関と緊密に協議していく」とした。
また、カナダの研究大学15校のグループである「U15カナダ研究大学連盟」に対しても同様の措置を取るよう求めた書簡を送ったと述べた。
カナダの大学上位10校と中国軍が共同研究
カナダでは最近、カナダの大学上位10校などが中国軍と協力してハイエンドで機密性の高い技術に関する学術研究を行っていることが報じられ、問題視されている。
カナダのグローブ・アンド・メール紙は先月末、米情報調査会社ストライダー・テクノロジーズの報告を引用し、2005年以来、カナダの50の大学が中国軍と大規模な共同研究を行っていると報じた。
同紙によると、カナダのトップ10大学の学者と人民解放軍の国防科学技術大学(NUDT)の科学者が、量子暗号やフォトニクス、宇宙科学、ミサイル誘導、ドローン、監視技術などのトピックに関する論文を過去5年間で240以上共同で発表していたという。
国防科学技術大学は1950年代に人民解放軍工科大学として設立され、1978年に当時の中国共産党最高指導者であった鄧小平の「直属の下」で現在の名称に変更した。
また、国防科学技術大学は「中央軍事委員会の直接指導」を受け、「国家および軍から多額の資金提供を受けている」という「特殊な地位」にあると説明している。
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